2024-12-09

「#エキスパートアドベントカレンダー2024」とは、NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、各業界・専門領域における学びや、エキスパート活動を通しての気づきを共有する期間限定企画です。
今回は、スズキマンジ事務所 代表/(株)デンソー CXのスズキマンジ氏による記事をお届けします。
スズキマンジ
スズキマンジ事務所 代表/(株)デンソー CX
1986年、日本電装株式会社(現株式会社デンソー)に入社。2004年にCMUとINSEADでビジネスの基礎を学ぶ。2017年から2020年までSilicon Valley Innovation CenterのVice President, Innovationに就任。2018年からは、シリコンバレーと中国の両睨みのため、电装中国投资有限公司の创新推进事业部总经理も兼任。
2021年1月、59歳の誕生日に、デンソーの枠外でも価値提供を可能とすべく「スズキマンジ事務所」を開業。2022年4月より、東京オフィスを開設し、三河と東京を1週間毎に往復して業務にあたる。
明治時代、日本に新しい時代の扉を開く風を吹かせた福沢諭吉の『学問のススメ』は、「天は人の上に人を造らず」との有名な一節で始まります。この言葉は、個々人の能力や努力がその人の運命を形作ることを説いています。現代を生きる私たちにも、この精神は響くものがあります。ここでは、その考えを現代風に解釈し、「副業」を通じて得られる学びと可能性について書いてみたいと思います。
改めまして、スズキマンジです。現在、62歳と11ヶ月、自動車部品メーカー 株式会社デンソーの再雇用社員です。59歳の時に、副業で個人事業主「スズキマンジ事務所」を開業しました。個人事業主を始めて4年目です。今回、これを読む方々、特に企業にお勤めの方に、副業、ここでは個人事業主を開業することで得られることをお伝えできればと思います。
企業に勤めると、与えられた役割や目標に従って組織で仕事を進めることが求められます。しかし、これだけでは「自分自身の市場価値」を意識する機会が少ないかもしれません。副業を始めることで、企業のラベルや組織のチカラから切り離された自らのスキルや知識が、どのように世の中で評価されるかを知ることができます。
たとえば、趣味で撮影していた写真を販売する、あるいは専門分野でのアドバイスを有料で提供してみる。その反応から、自分が何を提供でき、他者や社会対して、どのような価値を与えられるのかが見えてきます。それは、自己成長のきっかけとなり、自信や次なる挑戦への動機を生み出すのです。
副業を始めることは、小さなビジネスを立ち上げることと似ています。商品やサービスを提供するだけでなく、それを必要としている人々に届ける仕組みを作らなければなりません。この過程で、世の中の需要と供給のバランス、消費者の心理、そしてお金の流れといった経済の基礎が肌で感じられるようになります。
たとえば、個人事業主で仕事を受ける場合、仕事の獲得から納品、そして報酬の受け取りまでが一つのサイクルになります。この一連のプロセスを経験することで、企業における自分の業務がどのような形で組織の利益に結びついているかも理解しやすくなるでしょう。
副業を通じて最も実感するのは、「人を集めること」と「お金を動かすこと」の大変さです。会社員としての業務では、既に整備された仕組みやブランドの恩恵を受けることが多いですが、副業ではそれを一から構築しなければなりません。
セミナーや講演などの講師で収入を得ようとする、ハンドメイドの商品をオンラインで販売するなど、どの副業を選んでも、最初の段階では認知されることの難しさに直面します。実際、私の場合も、1年目は「デンソーの鈴木さんであればお願いしたいが、個人事業主の立場であれば結構です」というケースが多々あり、それまで自分に声がけがあったのは企業ブランドの価値であったことを実感できました。自分の仕事をどう広め、どのように人々の興味を引き、信頼を築くか。この試行錯誤は、確実にあなたの視野を広げることでしょう。
ここまで読んで、「でも、失敗したら…」と心配される方も多いですよね。安心してください。副業は、必ずしも成功しなければならないわけではありません。むしろ失敗から得られる学びの方が貴重かもしれません。例えば、「集客したけど全く集められなかった」といった経験も、ターゲットの設定やメッセージの伝え方を考え直す契機となります。
また、税務や会計の知識も、個人事業主を始めることで自然と身につきます。最近では、freeeなどのオンラインサービスを使えば、個人事業主としての開業や確定申告も手軽に行うことが可能です。これにより、自分の稼ぎに対する責任感が芽生え、会社員としての収入との違いや資金管理の重要性を理解できます。
日本では、副業解禁が進む中、多くの企業が社員の副業を容認するようになっています。許可されている環境であれば、まずは税務署に届け出を出して個人事業主としての一歩を踏み出してみてください。開業届の提出自体はfreeeなどで質問に回答していくだけで、書類も無料かつ、簡単に作成できます。個人事業主を始めることで得られるのは、単なる収入ではなく、あなた自身の人生を豊かにする新しい視点です。
さあ、今日から副業という名の冒険を始めてみませんか? 失敗を恐れず、学びを楽しみ、そして自分の可能性を広げていきましょう。あなたの中に眠る新しい価値が、きっと世の中に良い影響を与えるはずです。
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