未来を見据えたキャリア選択と逆算思考 - 長谷部寿大 / #キャリアの幅を広げるか専門性を極めるか

公開日: 2025-03-21

本記事は、NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、各テーマについて経験談や思考などを共有する企画です。
3月のテーマは「キャリア」。これからのキャリア選択に悩むビジネスパーソンに向けて、エキスパートの具体的なエピソードや思い、考えをお届けします。

今回は「キャリアの幅を広げる or 専門性を極める。迷った私の決断」をテーマにエキスパートに寄稿していただきました。

EXPERT

Q. キャリアの分岐点で「幅を広げる」「専門性を極める」のどちらを選んだか? 状況・課題・チャンスについて

選択したのは「専門性を極める」でしたが、その専門性の中で「幅を広げる」という選択でもありました。

小売業に身を置き、店舗スタッフから店長へ。そして本部バイヤー/マーチャンダイザーへとチャンスを頂いて進んできた中で、 ”バイヤー/マーチャンダイザー” という職と、そこで得られる知見を将来の武器にしたいと考えるようになったことがきっかけでした。

社会に出て10年程、同じ会社でステップアップしてきたけど、この先にこの領域での自分の武器を磨くためには、今の状況で良いのだろうかと感じていたタイミングでしたね。
まだぼんやりでもありましたが、独立するということも考え始めていて、武器にしていくには弱い(視野の広さ、他の業態の知見など)と感じていたことから、まさに”専門性を極める”必要性があるなと思い、その道を進むことを軸に、起業すると決めたタイミングから逆算して、必要な経験を積むための選択をしたと改めて思っています。そのときに極める専門性の中で「幅を広げる」ということを意識しています。

Q. その決断をする上で、どんな選択肢をどう比較・整理して決めたか?

専門性を極めるとなったときに、 ”その状況で勝負する” ということと、 ”違うステージでゼロベースで勝負する” という見方ができるかと個人的には思っているのですが、私は後者を選択、つまり同じ職種で転職して別のステージで自分の立ち位置を振り返ることを選びました。

バイヤー/マーチャンダイザーという専門職でもあり、同業他社からのお誘いもあったのですが、「専門性を高めつつその幅を広げる」という目線でもあったので、あえて同じ業態にはいかないという選択をしています。

目的はいくつかあり、市場における自分の立ち位置を知りたいということ、その専門職について ”市場” で求められていることを知りたいということ、それらについてその時点の自分の認識や方向性と世の中の違いを知りたいということなどでした。

このような目的を果たしつつ、目指している将来を現実にしていくためにはどのような選択をするのが良いかというのがこのときの悩みでもありましたが、比較のポイントでもありましたね。

Q. 実際にその道を進んでみて感じた壁や課題は何か?

同じ職種で違う業態に転職しましたが、結果的に私にとっては良かったと振り返っています。その理由は ”ステージを変えなければぶつかれない壁に次々に直面することができた” に尽きるかもしれません。

大手企業でその職種を務めたことから、 ”会社の看板に助けられていた” ということに気付けたことが何よりですね。お取引先様との商談などで、以前は当たり前に出来たことが ”実現できない/通用しない” ということが最初の壁。まさに会社の力を自分の力と勘違いしていたということですよね。

キャリアや成長という観点で見ると、ここがスタートでここから一気に伸びたと振り返ることができますし、そのおかげで最初の企業での経験も厚みのある内容に昇華させることができたとも思います。

”看板の力” で出来ていたことができないけれど ”同じ結果を実現させなければいけない” という立場/職種でもあったので、そのためには何をしたらいい?何が不足している?どんな手段がある?など常に考える&実行することの連続です。自身のインプットや、分析などのスキルアップと同時進行でしたから、常に刺激のある日々でしたね。

乗り越えていくために特に意識したのは、「逆算思考」の強化です。この精度と深さを磨いていくようになり、パターンを複数持つようにし、加えて ”最悪” のパターンを常に意識するようにもなりました。この最悪のパターンをあらかじめ描いておくことで ”いかにしてこれを防ぐか” が絶対に達成すべきことで、次にその最悪のレベルを上げていく、自分にとっての最低ラインを高く設定するようにしていきました。

そうすることで、実現できることの水準を自然と高められることと、目指す先をより長い距離に設定できるようになる、その中間の実行することや補う必要のあることの設定の仕方も変わる、というサイクルになり、乗り越えるというよりも ”通過した” という感じになりました。

Q. もし別の選択をしていたらどうなっていたと思うか?

今現在の自身の仕事に繋がっていて、さらに強みや差別化にも繋がっていると感じられることから「やはりこの道でよかった」と考えています。

専門性を極めるという軸の中で、深さを出しながら専門領域の幅を広げたことで、机上の空論ではない「実践経験で培ったノウハウと洞察力」を武器とすることができたのがその理由です。

また、この選択をして専門性を極める道を進んでいくにあたって、個人の成長をより加速させようと考えたことから、NewsPicks Expertをはじめとした知見提供の副業を始めたのもこのタイミングでした。この機会を同時に経験することによって、「インプット」と「アウトプット」をより磨くことができ、本業とのシナジーを発揮することができたなとも感じてます。

Q. これからキャリアを考える人に向けて、一番伝えたいことは?

ありきたりな言葉ではあるかもしれませんが、「未来の自分をイメージしておく」ということを伝えたいです。10年後、20年後、どのような人間になっていたいのか、どのような仕事や生活をしていたいのか、ですね。ただ、 ”好きなこと” と ”やりたいこと” と ”できること” は別物ですから、自分の性格と、目指す先までの時間軸とおかれている環境を掛け合わせて、「磨く」か「広げる」かの選択をするのが良いと思います。

私の場合は20代で様々な経験をしながらできることと、興味のあることがある程度絞られ固まってきて、30代でそれを磨き極めることを選択し、現在はそれを仕事として起業を実現できました。

それも「逆算思考」を仕事でもキャリアでも持っていたからかもしれません。そして最悪のシナリオから目を逸らさずに、それが現実にならないように自身を磨いていくという視点もあると良いと思います。

進んでいくにあたって、全てが順風満帆で思い通りになるわけではありません。むしろそうではないことを前提にするならば、最悪のシナリオをあらかじめ想定しておくことで、いくらでも軌道修正しながら ”本当に目指すこと” の実現に、いつどのタイミングでも進むことができますからね。


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