Q. キャリアの分岐点で「幅を広げる」「専門性を極める」のどちらを選んだか? 状況・課題・チャンスについて選択したのは「専門性を極める」でしたが、その専門性の中で「幅を広げる」という選択でもありました。小売業に身を置き、店舗スタッフから店長へ。そして本部バイヤー/マーチャンダイザーへとチャンスを頂いて進んできた中で、 ”バイヤー/マーチャンダイザー” という職と、そこで得られる知見を将来の武器にしたいと考えるようになったことがきっかけでした。社会に出て10年程、同じ会社でステップアップしてきたけど、この先にこの領域での自分の武器を磨くためには、今の状況で良いのだろうかと感じていたタイミングでしたね。まだぼんやりでもありましたが、独立するということも考え始めていて、武器にしていくには弱い(視野の広さ、他の業態の知見など)と感じていたことから、まさに”専門性を極める”必要性があるなと思い、その道を進むことを軸に、起業すると決めたタイミングから逆算して、必要な経験を積むための選択をしたと改めて思っています。そのときに極める専門性の中で「幅を広げる」ということを意識しています。Q. その決断をする上で、どんな選択肢をどう比較・整理して決めたか?専門性を極めるとなったときに、 ”その状況で勝負する” ということと、 ”違うステージでゼロベースで勝負する” という見方ができるかと個人的には思っているのですが、私は後者を選択、つまり同じ職種で転職して別のステージで自分の立ち位置を振り返ることを選びました。バイヤー/マーチャンダイザーという専門職でもあり、同業他社からのお誘いもあったのですが、「専門性を高めつつその幅を広げる」という目線でもあったので、あえて同じ業態にはいかないという選択をしています。目的はいくつかあり、市場における自分の立ち位置を知りたいということ、その専門職について ”市場” で求められていることを知りたいということ、それらについてその時点の自分の認識や方向性と世の中の違いを知りたいということなどでした。このような目的を果たしつつ、目指している将来を現実にしていくためにはどのような選択をするのが良いかというのがこのときの悩みでもありましたが、比較のポイントでもありましたね。Q. 実際にその道を進んでみて感じた壁や課題は何か?同じ職種で違う業態に転職しましたが、結果的に私にとっては良かったと振り返っています。その理由は ”ステージを変えなければぶつかれない壁に次々に直面することができた” に尽きるかもしれません。大手企業でその職種を務めたことから、 ”会社の看板に助けられていた” ということに気付けたことが何よりですね。お取引先様との商談などで、以前は当たり前に出来たことが ”実現できない/通用しない” ということが最初の壁。まさに会社の力を自分の力と勘違いしていたということですよね。キャリアや成長という観点で見ると、ここがスタートでここから一気に伸びたと振り返ることができますし、そのおかげで最初の企業での経験も厚みのある内容に昇華させることができたとも思います。”看板の力” で出来ていたことができないけれど ”同じ結果を実現させなければいけない” という立場/職種でもあったので、そのためには何をしたらいい?何が不足している?どんな手段がある?など常に考える&実行することの連続です。自身のインプットや、分析などのスキルアップと同時進行でしたから、常に刺激のある日々でしたね。乗り越えていくために特に意識したのは、「逆算思考」の強化です。この精度と深さを磨いていくようになり、パターンを複数持つようにし、加えて ”最悪” のパターンを常に意識するようにもなりました。この最悪のパターンをあらかじめ描いておくことで ”いかにしてこれを防ぐか” が絶対に達成すべきことで、次にその最悪のレベルを上げていく、自分にとっての最低ラインを高く設定するようにしていきました。そうすることで、実現できることの水準を自然と高められることと、目指す先をより長い距離に設定できるようになる、その中間の実行することや補う必要のあることの設定の仕方も変わる、というサイクルになり、乗り越えるというよりも ”通過した” という感じになりました。Q. もし別の選択をしていたらどうなっていたと思うか?今現在の自身の仕事に繋がっていて、さらに強みや差別化にも繋がっていると感じられることから「やはりこの道でよかった」と考えています。専門性を極めるという軸の中で、深さを出しながら専門領域の幅を広げたことで、机上の空論ではない「実践経験で培ったノウハウと洞察力」を武器とすることができたのがその理由です。また、この選択をして専門性を極める道を進んでいくにあたって、個人の成長をより加速させようと考えたことから、NewsPicks Expertをはじめとした知見提供の副業を始めたのもこのタイミングでした。この機会を同時に経験することによって、「インプット」と「アウトプット」をより磨くことができ、本業とのシナジーを発揮することができたなとも感じてます。Q. これからキャリアを考える人に向けて、一番伝えたいことは?ありきたりな言葉ではあるかもしれませんが、「未来の自分をイメージしておく」ということを伝えたいです。10年後、20年後、どのような人間になっていたいのか、どのような仕事や生活をしていたいのか、ですね。ただ、 ”好きなこと” と ”やりたいこと” と ”できること” は別物ですから、自分の性格と、目指す先までの時間軸とおかれている環境を掛け合わせて、「磨く」か「広げる」かの選択をするのが良いと思います。私の場合は20代で様々な経験をしながらできることと、興味のあることがある程度絞られ固まってきて、30代でそれを磨き極めることを選択し、現在はそれを仕事として起業を実現できました。それも「逆算思考」を仕事でもキャリアでも持っていたからかもしれません。そして最悪のシナリオから目を逸らさずに、それが現実にならないように自身を磨いていくという視点もあると良いと思います。進んでいくにあたって、全てが順風満帆で思い通りになるわけではありません。むしろそうではないことを前提にするならば、最悪のシナリオをあらかじめ想定しておくことで、いくらでも軌道修正しながら ”本当に目指すこと” の実現に、いつどのタイミングでも進むことができますからね。「キャリア」関連記事はこちら【 #副業で失敗しないために 】副業を始めた理由、選んだ理由、継続する理由 - 鈴木誠一郎https://newspicks.expert/media/post/career2503-1【 #キャリアの幅を広げるか専門性を極めるか 】未来を見据えたキャリア選択と逆算思考 - 長谷部寿大https://newspicks.expert/media/post/career2503-2「幅を広げつつニッチを極める」やりたいことの飽くなき探究 - 立花浩司https://newspicks.expert/media/post/career2503-31つの企業ではあなたの望んだ能力は手に入らない - 溝口洋輔https://newspicks.expert/media/post/career2503-4【 #キャリアの転機で迷ったら知ってほしいこと 】どこに行っても自分なりの何かの軸をもつこと - 山本圭介https://newspicks.expert/media/post/career2503-5価値感とパラダイムチェンジが重要と考える理由 - 田口恵一https://newspicks.expert/media/post/career2503-61年で転職は早すぎる?悩んだ私の決断の軸 - 太田勝久https://newspicks.expert/media/post/career2503-7ホンダからサムスンへの移籍 - 佐藤登https://newspicks.expert/media/post/career2503-8「転職」はキャリアの転機にはなるが「天職」になるとは限らない! - 池田浩孝https://newspicks.expert/media/post/career2503-9面白い仕事を求め、専門性を磨いてきたらエキスパートになりました - 藍野弘一https://newspicks.expert/media/post/career2503-10【 #AI時代に仕事を奪われないために私が実践する学び方 】AI時代のサバイバル:私が実践する学びの未来図 - 木村泰三 https://newspicks.expert/media/post/career2503-11相手の挙動への関心と引き出しの継続的な蓄積 - 権藤祐司https://newspicks.expert/media/post/career2503-12キャリアアップにつながる副業「NewsPicks Expert」とはNewsPicks Expertは、「個人の知見」を「企業の意思決定」につなぐエキスパートプラットフォームです。クライアント企業から様々な相談を受け、これまでの経験や知見を活かした見解やアドバイスを伝えることで報酬を得ることができます。現役会社員が登録者の7割以上を占めており、所属企業でのお仕事を続けながら、30分〜1時間程度のスキマ時間を有効的に活用して挑戦しています。仕事で培ってきたスキル・経験・知見が、所属企業以外で活きるかを確かめてみることから始めませんか?