1年で転職は早すぎる?悩んだ私の決断の軸 - 太田勝久 / #キャリアの転機で迷ったら知ってほしいこと

公開日: 2025-03-21

本記事は、NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、各テーマについて経験談や思考などを共有する企画です。
3月のテーマは「キャリア」。これからのキャリア選択に悩むビジネスパーソンに向けて、エキスパートの具体的なエピソードや思い、考えをお届けします。

今回は「キャリアの転機で迷ったら知ってほしいこと」をテーマにエキスパートに寄稿していただきました。

EXPERT

Q. キャリアにおける最大の転機、最も悩んだことは?

私はこれまでに4回転職しましたが、最も大きな転機は2001年の二度目の転職でした。まだ入社1年の中堅メーカーを離れるべきか、ずっと夢だったコンサル業界へのオファーを受けるべきか。迷いに迷いました。しかし、ある一言が私の背中を押し、決断しました。

■転機のきっかけ
新卒で入社した銀行に約9年勤務し、2社目(中堅メーカー)は1年2ヶ月しか在籍しませんでした。3社目(コンサルティング会社)の転職の際、実は銀行時代から転職したかったコンサルティング業界・企業から、まさかの口頭ベースでオファーをもらい、びっくりしました。メーカーでの勤務中にたまたまWebで知り合った、コンサルティング会社勤務の方に業界の業務内容などを教えてもらっているうちに、その企業の人事に紹介をしてもらえることになりました(今でいうリファラルのようなものです)。

そこで、その企業ともう1社コンサルティング会社の面接を実施したところ、後者のコンサルティング会社から、1回目の面接(1回の面接でマネージャーとパートナーと一気に面接した)で、オファーを出す、と言ってもらえました。

■最大の悩み:「1年で転職は早すぎる?」
ただ、2社目はまだ入社1年程度で会社に貢献できているとはいいがたい。会社の人は良くしてくれている。したがって、すぐに転職するというのは気が重い。というものでした。

ただ、実際オファーレターをもらって、この悩みが現実化してしまいました。今転職すると、ジョブホッパーとか腰掛だったとか言われるのではないか、などというものと、銀行時代からずっと希望していた会社からのオファーじゃないか、というのが悩みでした。

Q. 転機を乗り越えるために取った行動は何か?

1:相談することで道が開けた 誰に相談したか? それはなぜ?
散々悩んだ挙句、私は何を考えたのか1社目の銀行の元上司に「どうすればいいか」を相談しました。私のことを知っているが、今は客観的に状況を理解できそうだ(その方は銀行から関連会社に出向になっていた)というのが理由でした。2社目の転職の際には、誰にも相談せずに決めたところ、周り(特に妻方の両親)から反対や疑問の声が噴出していたこともあった、というのも理由の一つでした。

2:転機となった「さっさと承諾しろ」という言葉
その元上司からは、開口一番「さっさと承諾しろ。二度とないチャンスだぞ」というアドバイスでした。すなわち、背中を押してくれたのです。これが3社目転職への決断の決め手になりました。
それで、私は2社目の会社の上司に退職の意向を切り出しました。上司からは、何度か慰留されましたが、こちらは、もう引き下がれない、という感じでした。最終的には了承してもらい、社内で送別会まで開いて、暖かく送り出してもらえました。
また、元上司は私の妻方の両親に「これは彼にとって良いチャンスだから、応援してあげてほしい」と、2社目転職時点でボトルネックのような存在だった妻方の両親までアドバイスしてくれました(妻も同じ銀行に勤務してたため、夫婦双方に通じていた方でした)。自分の取った行動が、すべて良い方向に流れたような気がします。

Q. 転機の決断をする際、何を考えたか?

1:本当にやりたいことか?
銀行時代から、ずっとやってみたかったことだった。2社目はメーカーの経営企画室という部署だったが、関係部署との調整が多く、イメージと違っていた。

2:後悔しないか?
またとないオファーだと思っていた。

3:背中を押してもらえた
銀行時代の元上司がバックアップしてくれて、心強かった。転職の相談は、一般的には誰にも言わない、というものです。しかし、このときは悩んで相談したことが吉とでました。
また、金融系の仕事(コンサルティング会社は監査法人系の会社だった)にも精通していたので、様々な面で知識・経験が豊富な方だった。銀行時代の自分の人事評価もしていた人なので余計。これらを考えて、最終的に自分の気持ちに素直に行動することが出来ました。

2社目の上司に慰留されたときは、後ろ紙を引かれるような気持ちにもなりましたが、やはり自分の気持ちを優先しました。これは銀行から転職する際にも同じようなことがあったので、多少の免疫がありました。

若手が転職の意向を上司に伝える際、上司は30代後半から40代、あるいは50代のケースが大半です。私も50代後半の今ならその上司たちと同じ気持ちになるかもしれませんが、彼らも似たような気持ち(転職したいなど)があったものの、実行に移さなかった人が多いのです。そういう人が、「実行したい」という若手・中堅社員から相談を受けると、本音はうらやましいのです。ただ、役職上は慰留せざるを得ない、という点を理解されるとよいでしょう。

Q. 実際に決断してみて、キャリアや人生観にどんな変化があったか?

最終的には、2社目の上司・同僚、妻方の両親他、皆さんに暖かく送り出してもらえることができました。と、同時に3社目では、気合を入れなければならない、という決意を一層強くしました。希望する業界・企業で働く、というワクワクする気持ちと、後に引けないという気持ちが同居しました。3社目はその後のキャリアでも、私の専門性を決定づけるものとなり、今でも私の中核スキルを形成しています。

あとは、行動する重要性を教えてくれました。コンサルティング業界で働く、というのは銀行時代から、ずっと希望していたことでしたが、今ほど情報量が多くない2000年当時は、そのキャリアの道筋がよくわからなかったというのが実態でした。たまたま、コンサルタントのブログ記事を読んで、質問したら、業界は人手不足で、人材採用が活発化しているし、あなたら可能性は十分ある、と教えてもらえたのです。

そこで、当時大阪から東京までその人に会いに行って、いろいろ生きた情報を教えてもらえたのです。実際に入社したのは別のコンサルティング会社でしたが、その会社も実は設立したばかりで、オープニングのための人材を10数名募集していたという偶然の機会だったのです。そこに運よく転がり込むことが出来た、というのが3社目転職の実情です。同じ会社に勤務しているだけなら、知ることはできなかった情報も少し興味を持って実行してみることによって、大きな転機とすることが出来ました。

Q. 過去の自分や同じ悩みを持つ人にアドバイスを送るなら?

私の悩みは、実は「周りの目を気にしていた」ということに対し、最終的には自分の気持ちを素直に行動に移すことで解決した、と言えるでしょう。

特に若手(入社7年目など自社の主要業務を一通り理解できているレベル)から中堅(30代前半代)までの人で、キャリアに誠実に向き合っていれば、何か行動を起こした場合(私の場合は転職でした)は、周り(40代・50代前後のミドル世代)は応援してくれると思います。

彼らには3つのパターンがあると推測されます。

  • 1:転職などやりたかったけど実行に移す勇気や行動力がなかった

  • 2:自分も同じように転職してきたから、ステップアップしたい部下の気持ちはよくわかる

  • 3:出世一筋で、考えたこともないし、そんな価値観受け入れない

3のパターンは、ごく少数派(私は出会ったことがない)だと思いますし、読者の皆さんも3のパターンの見分けはつくでしょう。したがって、これは例外としておきます。

1・2のパターンは、いろいろあっても最終的には、気持ちを理解してくれるはずです。したがって、ご自分の気持ちを素直に行動に移せば、周りの見る目は、きっと応援団になってくれると思います。迷ったときは、素直に自分の気持ちを見つめてみてください。そして、信頼できる人がいれば思い切って相談してみてください。自分では見えなかった答えが、そこにあるかもしれません。


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