「転職」はキャリアの転機にはなるが「天職」になるとは限らない! - 池田浩孝 / #キャリアの転機で迷ったら知ってほしいこと

公開日: 2025-03-21

本記事は、NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、各テーマについて経験談や思考などを共有する企画です。
3月のテーマは「キャリア」。これからのキャリア選択に悩むビジネスパーソンに向けて、エキスパートの具体的なエピソードや思い、考えをお届けします。

今回は「キャリアの転機で迷ったら知ってほしいこと」をテーマにエキスパートに寄稿していただきました。

EXPERT

Q. キャリアにおける最大の転機、最も悩んだことは?

私は2回の転職を経験しています。1回目は大手サッシメーカーから、冷凍冷蔵倉庫会社への転職。2回目は冷凍冷蔵倉庫会社から、ベビー用品メーカーへの転職です。これが私のキャリアの転機に重なります。

1回目と2回目の転職は、自分にとって意味が全く異なっていました。単純に言えば1回目の転職は失敗、2回目は成功ということでしょうか。

残念ながら最初の転職は、多くの方は失敗します。当たり前ですが、1回目は今の会社での自分の立場でのキャリアが全てです。これが他社に通用するのか、あるいは今以上にキャリアアップするのかはその時にはわかるはずもないのに、なぜか自信過剰になってしまうんですね!

そして転職したとたんに「何か違う」「前の会社の方がよかった」と悩んでしまうのです。そう思い始めると新しい仕事や業務に身が入らず、キャリアアップどころではなくなってしまいます。
まずはこの違和感の理由を探すのに苦労をしました。

Q. 転機を乗り越えるために取った行動は何か?

転職先の冷凍冷蔵倉庫会社での私の業務は、荷主から預かった荷物を保管し指示通り入出荷することでした。荷主はその荷物の受発注を依頼してくる立場ですが、在庫の増減や保管物の品質に常に気配りしていました。

また、私の担当として海外からのコンテナ貨物の受け入れと、「保税蔵置場」の管理がありました。これは通関前の荷物を保管する専用の場所であり、厳格な保管管理が求められ、年に数回の税関の監査も受ける必要があります。通関のための検査で荷物を動かす時も、税関の許可が必要です。ちなみにこの場所は「海外」であり、保管料に消費税はかかりません。

これら倉庫会社での業務をこなすうちに、モノの流れはグローバルであり、このいわゆるサプライチェーンを管理する会社や、仕事も物流だということに気付きました。何のことはない、前の会社でやっていた仕事はこれだったんだ、と今さら気が付いたわけです。

倉庫会社は実際に「物流を行う立場」、メーカーや荷主はモノを動かすために「物流を活用する立場」だということ、当時の私にとってこれは極めて新鮮な発見でした!

Q. 転機の決断をする際、何を考えたか?

自分のやりたかったことは、実は「物流を活用する立場」にたって、「モノの動きを最適化することで会社に貢献すること」だったことに気付きました。

これで転職した際に感じた違和感が何だったかもわかりました。倉庫会社の荷主には、メーカーや問屋や小売業者、外食産業など様々な業種があります。その中で、モノを工場で作るところから消費者にお届けするまでの長いサプライチェーンを持つメーカーの物流が、一番やりがいがあるだろうと考えました。この目標が決まれば、あとは行動に移すだけでした。

1回目の転職でお世話になったエージェントの担当の方に連絡し、自分の考えを話し、再び転職のお手伝いをしていただきました。

そして、紹介されたメーカーに面接に行ったとき、最初の会社に勤めていた人が面接官にいました。これは縁としか言いようがありませんが、話はとんとん拍子に進み、採用していただくことになりました。これが2回目の転職=第2の転機となりました。

Q. 実際に決断してみて、キャリアや人生観にどんな変化があったか?

今度のメーカーは、最初に勤めていたメーカーに比べれば企業規模や売上は小さかったのですが、当時生産拠点を日本から中国など海外に移す時期でした。工場の海外移管作業に伴い、物流体制も大きく変化している時期でした。また、新たな全社の情報システムの入れ替えも計画されており、私の過去の知見が存分に生かせる仕事がそこかしこにありました。

システム変更に伴う実地棚卸作業の効率化、新たな物流センターの建設、海外からのコンテナ受入作業の効率化等、過去二社での経験がそのまま生かすことができ、コストダウン提案も実績としてあげることができました。そして、キャリアを重ねるうちに社内では「物流のことは奴に聞け!」と言われるまでになっていました。

Q. 過去の自分や同じ悩みを持つ人にアドバイスを送るなら?

昨今、新卒で入った会社に生涯勤め上げる終身雇用は減ってきていると思います。ただ、安易に転職すると、自分の描いていた仕事や理想とのギャップに悩むことも少なからずあると思います。

あえて言うなら、今の時代でも一つの会社に勤められるのなら、それに越したことはないと思います。一社で自分のキャリアを形成できればそれは理想でしょう。ただし、仕事の幅は転職したときよりは広がらないと思いますが、結局定年で会社を離れるときには、結果的に「天職」だったことになりますね。

あえて転職した場合、特に1回目は必ずギャップに悩むことになります。このギャップを克服するには、やはり目の前の仕事に興味をもって取り組むしかありません。今の仕事を理解しない限り、ギャップに気付くことはできないからです。転職を決意したのは自分なのですから、ここは開き直って取り組みましょう。それが結果的にキャリアの積み上げになっていくのですから。

そしてギャップの意味が分かったら、素早く行動を起こして、もし必要であれば、今度こそ間違いのない「天職」を自分でつかみましょう。今の私は、ギャップに気付いて行動した過去の自分を、よく頑張ったと褒めてあげたいですね!


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