本業から広がる「越境人材」としてのキャリアーー まず、秋山様の本業と副業の取り組み内容を教えてください。「越境人材になりたい」という大きなテーマをキャリア選択において掲げています。「越境人材」とは、自分の強みや軸を持ちながら、場所や業界などの活動領域を広げていく人材のことだと考えています。まず、本業についてですが、私は不動産デベロッパーでプロジェクトマネジメントを担当しています。大学院で建築を学んだ経験を生かし、最初は技術部門で物件管理を行っていましたが、大規模なプロジェクトに携わりたいという希望を出し、ショッピングセンターや住宅、マンションの開発にも従事しました。現在は、海外事業において建築のみならず、事業の収支や全体のプロジェクトマネジメントも担当しています。また、本業と並行して自己啓発にも取り組んできました。宅地建物取引士や一級建築士は、不動産デベロッパーとしての基本的な資格であり、取得しながらキャリアを築いてきました。副業としては、NewsPicks Expertでの案件対応から始まり、アフリカでの起業の挑戦、伊豆の和菓子店での商品企画コンサルティング、食品工場での事業コンサルティングなど、さまざまな機会に恵まれました。ーー どのような流れで活動領域を広げてきたのでしょうか?キャリアの軸となるのは本業で、プロジェクトマネジメント職を強みとして領域を広げてきました。入社当初は仕事に追われる日々でしたが、途中で資格を取得し、さらに会社の海外研修に応募しました。そのとき、3つの大きなきっかけがありました。まず、NewsPicks Expertに登録しました。登録した理由は、同僚が次々と転職する中で、自分の市場価値を知りたいと感じたからです。副業としての敷居が低く、ブランドとしても安心できると思い、始めました。案件に回答しながら、自分の知識や経験が他者に役立つことに気づき、さらに副業やいろんな活動に挑戦したいという思いが芽生えました。次に、友人が起業したことに触発され、ビジネスコンテストに応募しました。そこで受賞したことでモチベーションが上がり、以前から興味があったアフリカでの起業に挑戦することになりました。その後、コロナ禍で在宅勤務が増え、時間に余裕ができたこともあり、地方の副業マッチングイベントに参加しました。本業の不動産デベロッパーとは全く関係のない、2社からリクエストをいただき、和菓子店や食品工場での副業の機会を得ることができました。現在は、コロナの影響も薄まりつつある中で、海外出張が増えており、本業に再び注力しています。副業に挑戦してみて「お役に立てる」と気づいたーー 新しいプロジェクトや海外研修、副業など、秋山様は新しい挑戦を積極的にされていますが、その際、ハードルを感じることはありますか?よくポジティブな人間だと言われますが、実際はそうでもありません。新しいことに挑戦する際、失敗やリスクを気にすることは多々あります。特に、時間的に今しかないというタイミングでは、深く考えずに飛び出すようにしています。一方で、時間に余裕がある場合はリスクとメリットを紙に書き出し、最終的には「大したリスクじゃない」と思えることが多いので、それで決断をしています。ーー 副業として最初にNewsPicks Expertを始められましたが、挑戦する際の不安はありましたか?登録当初は、「自分の知識で本当に答えられるのか」という漠然とした不安がありました。最初の数ヶ月は様子を見ていましたが、依頼メールが届く中で「意外と答えられそうだな」と感じて徐々に挑戦しました。結果として、心配する必要はなかったですね。NewsPicks Expertの良いところは、こちらに選択権があることです。自分が答えられるものは受け、自信がないものは遠慮することができるので、非常にやりやすい副業です。今も続けられているのは、その柔軟性が大きいと思います。ーー コンサルティングの副業を引き受ける際はどうでしたか?特に懸念が大きかったのは、地方の中小企業で副業人材として働く際です。会長や社長と直接ミーティングを行い、自分がどれだけ成果を出せるのか心配でした。しかし、実際にやってみると、大企業で培った基礎スキルをもって、役立てる場面が多いと気付きました。中小企業は強みと弱みが偏っており、人材も豊富ではないため、どこかで力になれることがあると実感しました。副業をやってみて、人と人との関係で仕事が進むので、相手とのコミュニケーションが最も重要だと再認識しました。例えば、和菓子屋や食品工場の社長としっかり話し合い、信頼関係を築くことで、プロジェクトが前に進み、還元できることが多いと感じました。できることを伝えるのが大事。副業先の見つけ方と選び方ーー 副業先との出会い方や、意識していたことについて教えてください。1つ目は、副業のマッチングイベントに参加することです。最近はリアルで開催される副業イベントが増えており、実際に相手と会って人となりを感覚的につかめるのが大きなメリットです。履歴書を送るオンライン応募よりも敷居が低く、自分の感覚で合うか合わないかを決められるため、気軽に参加できました。特に地方再生に関するイベントも多く、ネットで調べるといろいろと出てくるので、試しに参加してみることをおすすめします。2つ目は、ネットワークを活用することです。例えば、コラムの執筆やコメンテーターの副業も経験したのですが、それらは狙って得たものではなく、これまでの副業の実績を話すことで次の機会に繋がったケースです。小さな実績でも積極的に発信することで、新たな機会が得られることを実感しました。ですので、まず1つ目や2つ目のきっかけや実績を作り、それを発信していくことが重要だと思います。ーー 副業の選び方の基準はどのように考えていますか?私の場合は、まず自分の強みとモチベーションが続くかを基準にしています。お金だけを目的に副業をするのは難しいですし、モチベーションが保てるもので、自分の強みを生かせるものを選ぶようにしています。結果として、本業にも良い影響が出るような仕事を選ぶことが大切だと思っています。具体的には、プロジェクトマネジメントやスケジュール調整、コスト管理といった、自分の強みが生かせる分野を重視しています。例えば、和菓子屋で副業をした際も、最初は不動産と関係がありませんでしたが、社長と話す中で、空間作りや施設運営に私の強みが活かせると感じて参加しました。さらに商品企画にも関わり、少し背伸びしましたが、それでも自分の強みが生かせると判断したので挑戦しました。その点、自分にできることを相手にはっきりと伝えることが大切だと思います。相手は当然自分のことを詳しく知っているわけではないので、しっかりと言語化して伝える必要があります。また、こちらも本業の総合担当として入っているわけではないので、全てをやる必要はありません。「この中なら責任を持ってできる」と伝えれば、仕事を任せてもらえますし、少し背伸びするような仕事でも相談しながら進めていくことができると思います。副業は「キャリアの旅行」。気軽に試してみようーー 今後のキャリアでどのような働き方を実現されたいとお考えですか?今のところ、自分の軸を大きく変えることは考えていません。これまで培ってきた強みを生かしつつ、業界や働く場所、特に海外も含めて、できる限り自分の活躍の場を広げていきたいと思っています。その先に、常に新しい景色を見続ける自分でありたいというのが、私のキャリアのビジョンです。ーー 副業に挑戦したいが失敗を恐れている方に向けて、最初の一歩に関するアドバイスをいただけますか?副業は「キャリアの旅行」だと思っています。旅行は気分転換になり、自分がどのような人間で、普段どうしているのかを見直すきっかけになりますよね。ですから、副業も同じような感覚で、気軽に試してみてもいいのではないかと思います。失敗を恐れる気持ちについてですが、副業において失敗を気にしすぎる必要はないと思います。多くの場合、業務委託であり、しっかりと仕事ができれば評価されますし、できなければ「今回はこれで」と綺麗に切り上げることができます。時間の使い方に関しては、効率的に配分を考える必要がありますが、最も大事なのはモチベーションです。お金以外の目的を持つことで、モチベーションを維持しやすくなります。例えば、NewsPicks Expertの活用はとてもおすすめです。Q&A:時間配分・副業の領域の選び方Q. 本業と副業の時間配分とエネルギーのバランスをどのように取っていますか?時間配分については、主に休日に副業を行っていますが、できるときは平日の夜も活用しています。エネルギーも限られているので、本業の波を読みながら、忙しくない時期に副業を行うよう心がけています。また、本業の特定のプロジェクトが忙しい時期を見極めて、新しい副業に応募するタイミングを考えています。私は本業をおろそかにするつもりは全くなく、両方中途半端になって嫌な気持ちで終わることを一番避けたいので、スケジュール調整には特に注意しています。また、副業を行う際には家族にも理解してもらうよう努めており、「越境人材として成長したい」という自分の目標やチャレンジする気持ちを正直に伝えるようにしています。Q. 副業の領域が本業と重なる場合、どうすればよいでしょうか?同業でやると競合になる可能性が高いので、異なる業界で自分の職種を生かす方が重宝されると思います。市場価値を図る中で、自分の希少価値を作ることも重要です。越境する理由は、自分の職種と違う業界や場所を組み合わせることで希少価値を高めるためです。例えば、和菓子業界に建築や不動産の知識を持つ人は少ないでしょう。不動産デベロッパーとしての経験を和菓子屋に生かすことができれば、掛け算が希少価値を生むと考えています。自分の軸を持ちながら、異なる業界と掛け合わせて市場価値を高めていきたいと思っています。<編集後記>「副業に挑戦してみたいけど、経験がお役に立つのだろうか?」「副業先をどうやって見つければいいのだろうか?」このように悩まれる方にとって、秋山様のキャリアの築き方や副業の領域の選び方がとても参考になると思いました。秋山様、貴重な体験談をありがとうございました!登壇者プロフィール秋山弘樹(Hiroki Akiyama)東急株式会社 国際事業部 プロジェクト統括グループ不動産ディベロッパーの建築マネジメント職として、30以上の案件を経験。築50年ホテルのリノベーションを担当後、大規模商業施設の開業を実現。住宅複合再開発、オフィス開業などを経て、現在はプロジェクトマネージャーとして海外の不動産投資・開発に従事。一級建築士。個人では、過去に伊豆の中小企業の事業コンサルや、アフリカでの起業にも挑戦するなど、自らの職種を軸として、場所、業界を越境して活動領域を拡げる。2020年度JICA Innovation Questにて最優秀賞を受賞。NewsPicks Expert Award2023にて最終候補者に選出。※NewsPicks Expertでの活動および本イベントでの発信は所属組織を代表するものではございません【NewsPicks Expertについて】NewsPicks Expertは、「個人の知見」を「企業の意思決定」につなぐエキスパートプラットフォームです。クライアント企業から様々な相談を受け、これまでの経験や知見を活かした見解やアドバイスを伝えることで報酬を得ることができます。現役会社員が登録者の7割以上を占めており、所属企業でのお仕事を続けながら、30分〜1時間程度のスキマ時間を有効的に活用して挑戦しています。仕事で培ってきたスキル・経験・知見を、所属企業以外で活きるかを確かめてみることから始めませんか?