閉じた世界から開かれた世界へ。自動車業界における働き方の変化ーまず、K様のご専門領域を教えていただけますか?新卒で自動車OEMメーカーに入社して以降、現在まで同じ会社に勤めています。もともとは自動車開発の領域でキャリアをスタートしましたが、直近約5年ほどは、CASE(※)の中でもコネクティッド分野での企画・開発を行っており、プロジェクトのリーダーを勤めていました。コネクティッドということで、自動車に通信機器を搭載することになるため、現在は特に情報セキュリティ分野での業務がメインとなっています。※CASE(ケース)とは:自動車業界の変革の象徴となる4つの領域「Connected:コネクティッド」「Autonomous:自動運転」「Shared & Service:シェアリング・サービス」「Electric:電動化」の頭文字を取って造られた言葉ー部署異動は、ご自身が希望されたのでしょうか?そうです。社内公募だったのでそれに応募し、上司の方からもお声がけいただいたので、社内転職のような形でした。個人のキャリアップという点もありますが、他社や他業種の公知情報を得てシナジーを生み出すことが、自動車業界には求められています。例えば自動車のエンジンやボディの開発だとそういったことはなかなかできないんです。他社の部品に関する知見があっても、自社固有技術への直接の適用が難しいため、それはあくまで参考程度に留まるもの。不可逆的な自動車業界のトレンドの中で、より知見を広げ、深めていくことを重要視しました。ー部署異動によって、働き方やキャリアの考え方などに対して、変化はありましたか?もちろんありました。自動車開発に携わっていた十数年は、ものづくり開発が中心でしたが、そこはかなり閉じられた世界と言えます。部署内で引き継がれたマニュアル・経験則などが重要視される傾向があり、同じ会社・部署の中に閉じたままキャリアのステップアップを目指し、知見を深めていくという環境でした。一方、コネクティッドの領域にシフトチェンジしてからは、外部の協業会社様を含め、多くの人と関わるようになり、色んな知見に触れる機会が増えました。元々自動車業界はITを専門としていないため、自社のみでIT領域の知見蓄積や開発を広い範囲で行うのは非効率です。IT関係の会社様との協業や、オープンソースソフトウェアやクラウドプラットフォーム利用なども含めて、外部からうまく取り入れていくことが必須です。そういった変化があり、「同じ会社の中だけでは、その専門分野でしか生き残れない」という思いに対して、それを脱するきっかけが得られたと感じています。転職の経歴書や面談にも活かせる、NewsPicks Expertでの取り組みー今後のキャリアについてどのようにお考えですか?ずっと一緒に働いてきた先輩が転職されたことをきっかけに、自分のキャリアを改めて見つめ直し、転職活動もスタートさせました。現状、コンサルタントへのキャリアパスを考えており、これまでも複数の大手コンサルティング会社から内定をいただきました。しかし、現在のエキスパート活動での報酬も踏まえると、必ずしも今すぐ転職という意思決定にはならない感覚を持っています。また、収入以外にも勤務地や福利厚生などの観点から、想定されるリスクを合理的に鑑みて、あえて現職にとどまっている現状です。しかし、数年後には転職することを想定しながら日々働いています。ちなみにNewsPicks Expertに登録したきっかけは、転職された先輩がやっておられることを知り、興味を持ったからです。ーエキスパート活動を始められて、収入面以外のメリットはありましたか?転職活動に活かせるメリットが大きく2つあります。1つ目は、「転職活動の履歴書、職務経歴書のレベルアップに生かせる」こと。そして2つ目は「転職活動時の面接スキルにも繋がる」ことです。NewsPicks Expert上でプロフィールを作成することで、自身のキャリアを確度高く確認することができたと感じており、社内の部署異動や業務内容が変わる度にプロフィールもアップデートすることで棚卸しにもなります。また、転職時の面談では、エキスパート活動に関するエピソードトークも交えることができるので、より自身のアピールや面談相手の満足度を高めることに役立てられています。そして、実際のインタビュー案件においてもクライアント様にご満足いただけるよう、自社用の専門用語を使わないようにしながらわかりやすくお話しすることを常に心掛けているので、それが転職活動時にも活かされています。コンサルタントを目指す上で、クライアントに価値提供するスキルの向上にもまた加えるとすれば、私のように事業会社に勤めており、今後コンサルタントへのキャリアパスを描かれている方は、一度NewsPicks Expertで活動してみるのも良いのではないかと、個人的に思います。転職活動をする中で相手企業様やエージェントの担当者もおっしゃっていたのは、「とにかくその分野における専門性が大事」ということでした。いくら営業トークがうまくても、その分野で十分な知見がないとその仕事は続かないということです。そして、エキスパート活動をやっていくと、その言葉の意味を実感しました。1時間のインタビューともなると、専門的な知見がないと、充実したものにはなりづらいです。それはコンサルタントとしての仕事と親和性があるポイントではないかと感じています。当然、コンサルティング会社での業務とエキスパート活動は異なるものですが、初対面でお話をして満足いただけるように工夫する点は同じなので、最低限必要になるのはその分野での専門性になるだろうと思います。それを試してみる場としても、エキスパート活動は有効だと思います。本質を捉えつつ、クライアントにとっての正解に寄り添うことが大切ー具体的にエキスパート活動の中で、意識されていることはありますか?インタビュー案件の中で、「最後の10分間でいただく質問が、一番クライアント様が聞きたかったこと」の可能性があるので、常日頃、広い情報にアンテナを張ることを意識しています。ビジネス系のメルマガを毎日チェックしておけば、あるインタビューで関連する記事にまつわるエピソードトークが1つ生まれます。また、業界内の人脈を通じて得られた公知情報などを交えてお話を差し上げるなど、自分ならではの価値提供スタイルを心掛けています。また、特に情報セキュリティに関する案件の場合は、クライアント様がその分野における知見をどの程度お持ちなのか、まずはそこを捉えるように注意しています。その程度によって、後の話の進み方が全然変わってくるからです。例えば、一言で「セキュリティにおいて他者に盗聴されない仕組みを教えてください」と言われても、当然口頭で伝えて理解していただくのは無理で、結果的にどんどん抽象化された話になり、何を言っているのかさっぱりわからないというケースもあったりします。まずは本質を捉えることが大変重要です。ー実際にクライアントと前提が揃っていないとなった場合は、どのように対処されますか?そうなれば、パソコンの画面共有で、ホームページの情報などを投影しながら解説します。図解やイラストがあれば理解しやすいですし、後でリンクの共有もできます。一手を見出さないとどうしようもないので、1時間枠の前半30分を「ちょっと聞いてください」という感じで、目線合わせやインプットに使うこともありますね。しかし過去には、本質に切り込みすぎてしまい、クライアント様のこれまでの検討内容や資料をひっくり返ってしまうという経験がありました。これはある意味「お節介」をしてしまったケースです。本質に向き合うべきという考えは前提として変わらないですが、それでも時と場合に応じて、「クライアント様にとって何が正解なのか」、そのバランスを保つことがとても大切だと実感しています。ー本質ばかり突き詰めても、必ずしもそれが正解でないケースがあるというのは納得すると同時に難しいポイントだなと感じました。そういった点も含めて、エキスパート活動における「手応え」は感じられていますか?正直、手応えというものはあまりないですね。というのも、貴重な時間と報酬をいただいている身なので、求められる知見を提供することを第一に捉えています。事前にいただく質問についても、チームや社内で検討された末のものであるでしょうし、インタビュー実施後は上司へ報告が必要な場合もあるかと思います。そういったことを踏まえると、質問に対して自分なりに事前準備もした上で適切に回答していくことが重要であり、それは常に手探りな状態ながらも取り組んでいることです。毎回の案件に対して、クライアント様からフィードバックをいただくことは難しいため、どれだけ価値をお届けできたかはわからないですが、「クレームがないのが良い知らせ」だと思って日々案件に向き合っています。ーその上で改めて、エキスパート活動を続けておられるモチベーションの源泉はどこにありますか?まずは、すでに触れたように転職活動へ活かすことができると感じているので、その目的のための手段として有効で、今もエキスパート活動を続けています。加えて、「本業では得られない人生経験が得られている」という点も大きいと思っています。知見が求められるということもそうですし、様々なクライアント様と接点を持てることで、多くの気付きが得られます。また、このように喋ることがもともと好きですし、お相手に喜んでいただけるというのは本質的に良いことだと思っているので、続けられていますね。極めて「合理的」な選択としてのエキスパート活動ーエキスパート活動の他にも、同様のサービスはされていますか?はい、やってます。しかし、NewsPicks Expertさんは他社さんと違い、初回のエキスパート登録時にも面談いただきましたし、今回のこのインタビューに関しても、きちんとフォローアップしていただいている証拠だと思います。それに、毎回案件のメールでも丁寧なやりとりをしてくださっています。御社として、合理性の観点のみで事業運営をされているわけではないだろうと察しています。ーそう言っていただき、ありがとうございます。軸足は本業に置きつつ、複数サービスを使い分けておられるということで、実際に副業を始めたい方に対してアドバイスはありますか?まず第一に、現職で副業が許可されているのであればおすすめします。なぜなら、デメリットはほとんどないからです。案件は空いた時間に調整すれば良いだけの話ですし、事前に合意した報酬は得られるので、極めて合理的です。転職やキャリアを考える上では、「等身大のキャリア」として、エキスパート活動の経験を発信することができると思いますし、お金が絡むと頑張らざるを得ない感覚にもなります。ぜひ、気になっておられる方は、とりあえず始めてみてはどうでしょうか。ー貴重なお話をありがとうございました。