社員の意識や組織文化をどう変えていくか?経営改革の本質的課題ー企業改革・組織開発・人材育成など、あらゆる領域をご専門しながら経営コンサルタントとしてお仕事をされていますが、これまでのキャリアについて伺えますか?「データサイエンス」という言葉もなかった大学生時代、研究者として数理技術に注力しており、大気の流れをシミュレーションするような研究を行っていました。一方、今後の進路を考えた際、このまま研究者として進むのではなく、これまでに学んだ技術をビジネスの世界で活かしたいと思うようになりました。そんな思いを持ちつつ、新卒では投資銀行に入社、その後大手エネルギー会社の経営企画部門に転職をしました。そこで約17年間、営業部門・新事業開発部門・新会社設立部門・商品開発部門等の責任者・統括を歴任し、幅広い専門性を身につけることとなります。しかし、「一貫性」は常に大切にしてきました。今でこそ、データに基づいた経営戦略や組織開発・人材育成、マーケティングなど、あらゆる領域に携わっておりますが、常に「自分の強みはなんだろう」と問いながら専門領域を徐々に広げてきました。全ての物事はデータや実証実験をベースに成り立つと考えています。逆に言うと、大学時代からのデータサイエンスの知見や技術が応用できるならば、特定の領域に拘らず、幅広く活躍したいと考えています。ー都市銀行から大手エネルギー会社への転職は、どういった背景があったのでしょうか?当時、なんとなくではありますが、環境をはじめとした社会貢献に携わりたいという思いがありました。そんな時、タイミングよく転職先の大手エネルギー会社が、金融知識のある人材を求めていたのです。自分自身が、金融の知識があることは当然ながら、なおかつ環境領域についても知見があったことがプラスに働き、内定をいただくことができました。加えて、当時は電力会社や都市ガス会社が地域を独占しているような時代だったのですが、米国の大手エネルギー企業が日本上陸を果たそうとして危機的な状況だったという背景もあり、金融の知見が求められていたのだと思います。ー大手エネルギー会社でのお仕事について、詳細に伺えますか?まず、金融機関にいた頃に当たり前だった知識は、業界が変われば誰も知らないようなことばかりで、大変驚きました。それによって、投資銀行での経験をダイレクトに活かすことができました。また「人・組織を育てる仕事」や、「世の中にないものを作って役に立つ仕事」に関わりたいという思いもあった上で、マネジメントや新規事業に携わることもできました。非常に良い経験でした。また転機となったのが、31歳の時に子会社の経営に携わったことでした。まさに人と組織と向き合う日々の連続で、「最終的に人の意識や組織の文化を変えることが企業変革に繋がっていく」ということを実感しました。「これまでの経験を活かして外に出てみたい」。自分の価値観に従うことの大切さーそれがきっかけで、経営コンサルタントとして独立することを目指されたのでしょうか?その当時はまだ独立しようとは考えていませんでしたが、やりたい気持ちはきっとあったと思います。子会社のマネジメントを2年ほどで終え、本社に戻ることになったのですが、それ以降も約3年ほどは業務時間外に子会社支援を続けました。そこで、経営の知識やノウハウがより体系化されていくことになります。ー書籍の出版もされていますよね?そうです。「世の中に問うてみたい」という純粋な好奇心が理由でした。これまで学んだ知見を、より広く役立てられるはずだと考えたのです。当然、私よりもその領域に詳しい人や優れている人はたくさんいると思ってはいましたが、それでも何が正しいかは誰もわからないですね。「少なくとも1回やってみたら、見えてくることもあるだろう」という気持ちで挑戦することにしました。本業もある中の執筆活動だったので、販売に漕ぎ着けるまでに時間はかかりましたが、本当にやって良かったと思います。後に、書籍の活動を知った方からお声がけいただいたことがきっかけで、大学の客員教授を務めることになり、経営に関する授業や講演を行いました。ー大学で教えることに関心があったのですか?基本的に、誰かに何かを教えることが好きなんです。また、よく「日本の若者はああだこうだ」とネガティブなことを言われる場面がありますが、実際に多くの学生と接していると、非常に発想力が豊かなことに気付きました。授業の中で、「いつ、何どき、どういうふうに、合理的に判断を下すのか?」「こういう状況に陥った場合、もしも自分が経営者の立場だったらどうする?」そういった経営に関するケーススタディを用いながら学生が意見を出し合うのですが、皆それぞれが面白い視点を持っています。実際のビジネスでは様々な制約条件があるため実現しないアイデアだということはありますが、「自ら考える」こと自体が大事です。そういった若い学生達がこれからきちんと育っていくことが大切ですし、そのためには微力でもお力添えしたいという思いで携わらせていただいています。ー独立を決められた背景について教えてください。客員教授をしつつも、本業ではエネルギー業界に長く携わり、多くの知識や技術を身につけることができました。そして、「この経験が他の領域でも活かせるのであれば、そろそろ外に出てみたい」と思うようになりました。実際、収入が不安定になる恐怖や、恵まれた福利厚生を放棄することのためらいはありました。しかし、何かを新たに選択するならば、同時に何かを捨てなくてはなりません。最後に信じるべきは「自分自身の価値観」です。「絶対その方が幸せになれる」と思え、自分自身でそれを意思決定したと自覚できることが、必ず自信に繋がります。だからこそ、独立する道を選びました。また、エキスパート活動とも通ずる部分ですが、知見は持っているだけでは意味がなく、他者へ共有されることで初めて価値になります。より自分の力で社会に貢献していきたいと強く思えたからこそ、決断できたのだと思います。「利他・感謝」。お金に変えられない仕事の醍醐味ー現在のお仕事のご状況についても伺えますか?今は身一つなので、できる限りの範囲でいくつかの企業様の経営支援をさせていただいています。課題は違えど、どの企業様も「このままではいけない」「何か変わりたい」と思っています。今よりも収益を拡大しながら社員の満足度を向上させ、お互いにハッピーになれる関係を作っていきたいとお考えの経営者の方は多いです。そのため、人材育成や組織開発に関わる案件から、最近では労働環境の男女格差にまつわるダイバーシティー領域のお仕事まで、徐々に領域を広げながら関わらせていただいています。また、何より嬉しいことは、ご支援先の経営者の方から日々、感謝のお言葉をいただけることです。これもエキスパート活動と同じで、「感謝される」というのはお金に変えられない価値ですよね。訪問する度に、「いつもありがとうございます」とか「いつも助けていただいてばっかりで申し訳ないですね」などと言われると、その会社のためにもっと頑張りたいと思えますし、モチベーションになります。ー本業とは別に、社会活動にも携わっておられますよね?はい。知り合いの紹介がきっかけなのですが、完全なボランティア活動として、パーキンソン病の症状をやわらげる体操にまつわる実証実験をお手伝いさせていただいています。とある大学の医学部と検証を進めており、一定レベルの効果が認められつつある段階です。医学的なエビデンスが確立されれば、全国展開したいと考えています。多くの方に届けたいという思いで取り組んでおり、貢献活動に繋がることなので、こちらも精一杯に取り組みたいと思っています。ーエキスパート活動についても、同じお考えなのでしょうか?まさにそうです。私の持っている知見が役に立つのであれば、広くどなたにでも提供したいと思っています。また、表彰していただけたことはお役に立てた証拠だと思うので、それを実感できて嬉しかったです。それが、エキスパート活動への良い意味での強制力にもなっており、今後も頑張って取り組んでいきたいと思っています。クライアントとの対話を通じて思考のアップデートに繋がる、エキスパート活動ーそのようにおっしゃっていただけて嬉しいです。エキスパート活動を通じて得られるメリットはどのようなことがありますか?いくつかありますが、まずはクライアントから様々な質問を受けることによって、頭の中が整理されます。また、インタビューでは、対話を通じて頭の中で考えていたことがより高度化・精緻化されていく経験が何度かありました。まっさらな状態でひたすら話す場合には話せなかったことです。対話を重ねることで視野が広がり、既存の異質なものが繋がったり、そういった経験が持てるのは凄く良いと考えています。ー逆に、エキスパート活動における難しさやハードルを感じることはありますか?「コンサルティングしないといけない」となると、いきなりは難しいと思います。しかし、インタビュー案件では基本的に、クライアントから聞かれたことに対して答えれば良いだけです。インタビューの時間も決まっています。ですので、特に難しく感じるようなことはありませんね。ー登録を検討されている方に対してメッセージをお願いします。私自身、大手企業でマネジメントの経験もしてきましたが、自分の持っている技術や知識が何かしら役に立つんじゃないかと思っている人も少なからずいると思っています。ですが、勝手にハードルを高く想像しすぎて踏み出せていないという方が多いのではないでしょうか。ですので「とりあえず、まずやってみる」という意気込みで、NewsPicks Expertに登録してみることから始められると良いのではないでしょうか。「自分の経験を外の環境で活かしたい」と思われている方にとっては、良い入口になるサービスだと思います。ー貴重なお話をありがとうございました。