※ お名前は五十音順で掲載しています(画像は左から同順)。敬称は省略しています。▼関連リリースNewsPicks Expert、エキスパート活動を表彰する「EXPERT AWARD 2025」全12部門の受賞者12名・殿堂入り5名および特別賞を発表https://corp.newspicks.com/info/20260402受賞エキスパートのコメントQ1. 企業からどのような相談が寄せられているのでしょうか。また、企業の意思決定に役立つ知見を提供するために、どのような視点や工夫を意識して回答していますか?▼稲葉 祐樹|自動車部品メーカー マネージャー企業からの相談で多いのは、半導体・電子部品・車載電装を中心に、材料選定、工程設計、量産移管、調達、DXなどが複雑に絡むテーマです。回答時は、まず相談者が本当に知りたい論点を「市場を知りたいのか」「技術課題を見極めたいのか」「意思決定に使いたいのか」に分解して理解します。事前の準備が非常に大切であり、必要に応じてインタビュー前にクライアント様の期待値を明確にするために時間を使います。その上で、事実、実務経験に基づく示唆、仮説を分けて整理し、適用条件や前提も明示します。経験談は一般化して再現性のある形に置き換え、個別事象ではなく判断軸として伝えることで、信頼性と実用性を高めるよう意識しています。▼長井 裕介|Director of Corporate Planning (Bain Capital’s portfolio company) 取締役 経営企画室長問いに対する「背景」(問いに至るまでのストーリー)と「問題点」(課題の分解と階層の構造化)、解決に向けた「仮説」(こうしたらこうなるのではないか)と「方法論」(方法A、方法B、方法C、etc...)、それに対する「考察」(YES or NO)を意識しています。また、特に「問題点」について実体験を基にスコープを考慮し、ストーリーが分かりやすい形を意識して回答しています。テーマは中期経営計画や予算とKPI導入のアプローチ、DDやValuationの手法や方程式、M&AやM&A後のPMI、IPOに向けた準備、経営企画他、人事やシステム、経理や法的な問いも多く頂いております。▼畠山 達彦|株式会社DCTA 代表取締役まず率直に申し上げると、このベストオピニオン賞は、ミーミルのご担当者の皆さまが案件をご紹介・アンケートをお送りくださることで初めて成立するものです。ミーミルの皆さまと一緒にいただいた賞だと心から思っており、深く感謝申し上げます。相談テーマはPFAS・カーボンフットプリント等の環境規制対応、製造DX・スマートファクトリー化、資源循環・プラスチックリサイクル、代替素材開発など化学・製造・環境領域が中心です。回答時は「クライアント様が本当に知りたいこと」を想像し、現場の肌感覚で意思決定課題を読み解くよう努めています。整理は「現象・構造的背景・現場の実態・今後の方向性」の4軸で行い、業界ネットワークからのリアルタイム一次情報を軸に据えます。断定は避け、主語を明確にしながら自分の経験と業界情報を丁寧に区別し、誠実に伝えることを基本姿勢としています。Q2. 現在のエキスパート活動につながる専門性は、どのような経験やキャリアの積み重ねによって形成されてきましたか?▼稲葉 祐樹|自動車部品メーカー マネージャー現在のエキスパート活動につながる専門性は、材料研究を起点に、自ら専門の外へ越境してきた経験の積み重ねによって形成されました。大学で金属材料研究の博士号を取得し、英国・米国で研究に携わる中で、特に米国では「足りないものは自分で取りに行く」「専門外とも協働する」という姿勢を学びました。その後、国内事業会社で要素技術開発、製品設計、工程開発、量産設計、調達、DX推進まで幅広く経験したことで、技術を点ではなく、事業や現場実装まで含めて捉える視点が磨かれました。この越境と実践の蓄積が、現在の知見提供の土台になっています。▼長井 裕介|Director of Corporate Planning (Bain Capital’s portfolio company) 取締役 経営企画室長私自身は経営財務、会計、税務、金融などの専門性のあるコンサル会社とそれを体現する事業会社や金融機関、バイアウト系のPEファンドとPEファンドの投資先の双方で各々の職務経験があり、どちらの立場においても求められる期待値と幅を全体最適で体感し、視点が磨かれてきたと感じております。様々な会社の社風に触れ、マインドやフェーズによる異なる期待値に触れながらも期待値以上を意識出来るようになったのは、今まで様々な環境ごとに一緒に仕事をしてきた方々のお陰と感じ、感謝しております。▼畠山 達彦|株式会社DCTA 代表取締役専門性の原点は、大手ケミカルメーカーでの長年にわたる実務経験にあります。機能性樹脂事業の中核を担い、材料開発から加工技術開発、工場設計・運営、30の国と地域の生産管理、川上から川下までのバリューチェーン全体を決裁権を持つ立場で統括してきました。キャリアの転機となったのは、事業部を越えてグループ会社の製薬工場見直しプロジェクトにアサインされた経験です。異業種の現場に飛び込むことで、「製造業の本質は共通している」という確信を得ました。この経験が、多様な業界のエキスパート活動においても、異業種の課題を自分事として捉える思考回路の原点になっています。DCTA設立後は、スマートファクトリー支援・PFAS規制対応・資源循環PJを通じ、化学・製造業界の現場と経営の両面を現在進行形で体験し続けています。この「現役感」が、机上の知識では届かない温度感のある知見提供につながっていると感じています。Q3. エキスパート活動を通じて、本業やキャリアにはどのような変化や気づきがありましたか?▼稲葉 祐樹|自動車部品メーカー マネージャーエキスパート活動を通じて大きく変わったのは、自分の知見を社外に伝える緊張感が、本業での思考と意思決定の質も高めてくれたことです。相手の立場や事業課題に応じて説明を組み立てる習慣がつき、社内でも技術の正しさだけでなく、事業性や実装性まで含めて考えるようになりました。また、異業種の相談に触れることで、自社の常識を相対化し、違和感を持って現状を見る力も養われました。外で得た刺激が内を見直す視点につながり、専門性の価値を再認識する機会にもなっています。▼長井 裕介|Director of Corporate Planning (Bain Capital’s portfolio company) 取締役 経営企画室長マーケットの「鮮度」のある問いに触れることで、今まで見えてなかった「気づき」や「学び」も多くあり、新しい分野や業界の未来の状況を受けてインスパイアされることも多い一方で、触れている領域はマーケットも激しく変わり、かつ実務ではサービス、組織、システム等様々な切り口での多様性もあり、より複雑化しているとも感じております。その観点で「すべてを粒度細かく満遍なく」は難しいため、これまで以上に、より「目的」を意識した活動が求められると感じます。▼畠山 達彦|株式会社DCTA 代表取締役エキスパート活動を通じて強く感じるのは、「アンケートやインタビューが、自分自身を育ててくれている」という実感です。多様な相談に向き合う中で、一見つながりがないと思っていた情報と情報が結ばれ、「点と点が線になる」瞬間があります。PFAS規制対応を軸に半導体製造業や医薬・医療分野の相談にも関わる中で、化学・製造業に共通する課題構造が改めて見えてきました。自分の知見が業界横断的に活きることを実感するとともに、各領域の最新動向が本業のコンサルティングにも新たな切り口をもたらしてくれています。キャリア観としては、「知見は出し惜しみしないほど磨かれる」という思いが深まりました。アンケートやインタビューへの回答を重ねることで自分の経験の棚卸しが自然と進み、思考が整理されていきます。エキスパート活動はわたくしにとって、単なる情報提供の場ではなく、自分自身が深化し続けるための実践の場そのものです。Q4. 生成AIの活用が広がる中で、企業からの相談内容や求められる知見にはどのような変化を感じていますか? その中で、エキスパートの価値はどこにあると考えていますか?▼稲葉 祐樹|自動車部品メーカー マネージャー生成AIの普及によって、企業からの相談は、単なる情報収集や一般論の確認よりも、複数情報の解釈、現場での実現可能性、意思決定への落とし込みを求める内容へと変化していると感じます。AIは論点整理や初期調査を大きく効率化しますが、実務で何が障害になるのか、どの条件なら成立するのか、といった判断には現場経験が欠かせません。だからこそ、エキスパートの価値は知識量そのものではなく、経験をもとに文脈を読み、使える知見へ翻訳することにあると考えています。AI時代だからこそ、その価値はむしろ高まっていると感じます。▼長井 裕介|Director of Corporate Planning (Bain Capital’s portfolio company) 取締役 経営企画室長AIにより、効率化活動の幅も増え、より簡易に出来ることも増え、それに基づく問いも増えてきたと感じております。AIを活用した事例もこれからどんどん出てくるため、私自身もAIに向き合い変化し成長をしていく必要があると感じます。一方で、AIは手段であり、「問い」に対する価値提供は、今までの体験に基づく「正しからしさ」を踏まえた解決策に、さらにより価値を高めることを「目的」とし、そこに価値を見出していくことにあると感じます。▼畠山 達彦|株式会社DCTA 代表取締役相談内容はこの数年で明らかに変化しています。以前は「業界の一般的な動向は?」「統計値の予測は?」といった問いが多くありましたが、最近ではそうした数値や一般論はクライアント様が生成AIで事前調査済みであることが殆どです。その上で寄せられるのは「傾向はわかったが、背景や根拠を経験と実績から教えてほしい」という深掘り型の問いです。統計データ出版物は1〜2年前の情報であり、判断材料として限界があります。わたくしの価値は、グローバルな人的ネットワークから得られる「生成AIも保有しないリアルタイムの一次情報」にあります。現場の声を拾い上げているからこそ、1時間のインタビューに耐えうる「生きた知見」を届けられると思っています。AIがあらゆる情報を把握する日はいつか来るかもしれません。そのときに備え、AIを超えるイマジネーションを提供できるよう、日々研鑽を続けることがわたくしの使命だと感じています。受賞者の詳細プロフィール稲葉 祐樹|自動車部品メーカー マネージャープロフィール自動車部品メーカー 次世代製品開発部署 マネージャー大学院博士課程終了後、米国にて新規金属、半導体材料開発に従事。帰国後も磁気記録媒体材料開発、太陽電池材料開発、車載、産業向け半導体パッケージ要素技術開発など様々な開発に従事。現在は主に技術企画を担当。長井 裕介|Director of Corporate Planning (Bain Capital’s portfolio company) 取締役 経営企画室長プロフィール財務・税務の専門家としてM&A、DD、IPO準備など幅広い経験を有しています。大手ITのLINE株式会社(現 LINEヤフー)にて財務システム構築を主導した後、ベインキャピタルやアドバンテッジパートナーズなどPEファンドの投資先にてシニアマネージャーとして、主にIT事業領域における経営改革を実行推進畠山 達彦|株式会社DCTA 代表取締役プロフィール大手ケミカルメーカーにて機能性樹脂事業の中核を担い、材料開発から工場設計・運営、30の国と地域の生産管理まで統括。2014年11月の独立後は株式会社DCTAの代表として、スマートファクトリー支援・プラスチックリサイクル等資源循環・PFAS環境規制対応を現場と経営の両面から支援しています。EXPERT AWARD 2025についてEXPERT AWARDは、NewsPicks Expertに登録するエキスパートのうち、前年に輝かしい実績を残した方々を称える企画です。2020年から毎年開催し、今回で6回目を迎えます。「EXPERT AWARD 2025」が掲げる「Your Expertise, In Motion」というテーマは、積み重ねられてきた知見が新たな領域へと展開し、エキスパートの価値創出がさらに広がりつつある今のフェーズを象徴しています。本アワードを通じてエキスパートの活動を可視化し、相互の称賛と新たな挑戦の契機を生み出すことで、知見がより社会へ届く循環の創出を目指します。