フェイクに惑わされない情報収集―容器包装 R&D&MKTの一次情報の取り方 / #インプットの流儀

公開日: 2026-06-29

「#インプットの流儀」とは、各業界の第一線で活躍するNewsPicks Expertのエキスパートが、専門領域の情報をどう選び、取り込み、アウトプットできる状態にしているかを語る寄稿企画です。

情報が溢れ、AIが瞬時に答えを返す時代に、「何を読むか」だけでなく「どう読み、どう消化し、どう自分の思考につなげるか」というプロセスにこそ、専門家それぞれの個性と知的な流儀があります。

本記事では、情報源の選び方から、取り込む習慣、整理・消化の方法、そして専門外から得ているインプットまで、素材加工メーカーの立石悟氏の情報処理の全体像を描きます。

「優秀な人はどんなふうに情報と向き合っているのか」——その問いへの一つの答えが、ここにあります。

EXPERT

専門領域の情報収集において、特に大事にしている情報源

包装は衣食住に関わる全てのモノに必要です。

例えば、自動車やPCを構成する部品を作る素材から完成品まで、消費者に届くまでの全ての工程に必要となります。食品も医薬品も建設も、全ての産業分野に必須のモノです。包装に求められる品質は商品ごとに多岐に渡ります。包装する商品をよく知らないと設計できません。すべての産業の細かいことまで、時には未知の素材に関してもアンテナを張り、誰よりも早く正確に知る必要があります。中身の商品を作っているメーカーよりも中身のことを知っている必要があります。それは保護するという機能だけではなく、国内外の法規制に関しても同様です。

そのためには各業界団体のHPから発信されている情報と各省庁のHPから得られる情報を常に見ること。この2つを事実ベースとして情報の真贋判定の基本としています。ただ、この2つの情報ソースは事実ベースの確定した古い情報です。フェイクも渦巻く情報ソースも必要。XやLinkedIn、展示会。

専門領域の情報を自分の中に取り込み、使える状態にするために工夫していること

最近、取り込む段階からデータ分析を行うためにAIを使うことが増えました。

過去には国会図書館のデータベースを検索して文献を読みに通い、情報のクロスチェックをしていましたが、それもAIで。国内外の各省庁や業界団体から公開されている数字を使って、自分の目的とする内容の傾向分析を行う際にも使用しています。これによって作業は激減しました。他の情報ソースの確認に時間を使うことができるので効率が上がりました。

特に海外の情報を分析整理する際の作業は格段に楽になりました。該当する海外の法規制を調べるのはかなりの手間なのですが、そのサーチも楽になりました。これらから得られた情報と、今後のトレンドと思われるXなどからの情報を照らし合わせて確からしさの確度を求めます。大げさなのかどうか、その推定ができます。

専門外の分野で、自分の仕事や思考に意外な形で効いている情報源や習慣

これは、ファッションデザイン、推し活、アイドル、ゲーム、アニメ、YouTubeからの情報です。次に来るトレンドがなんとなく分かるようにしています。

わかりやすいのは「アクスタ」アクリル板加工でケースを作る会社の受注例です。「高透明で反りも無い強剛度の高価なアクリル板に高精細な印刷ができる」これが売りのアクリル加工メーカーです。ケースやファイルを作る仕事がコストから激減していたところに、「写真用にアクスタを手作りしている人たちがいる。最近フィギュアを飾るケースの依頼が増えている。この人達に売れるのではないか?」と提案して販売すると大反響。新型レーザーカットなど設備を追加。安価な用途に製造販売していた素材加工がコンテンツという無形の用途に高付加価値として利用できることが分かり、今まで全くリサーチしていなかったコンテンツ関連も見るようになりました。

私の「インプットの流儀」を言葉にすると 

フェイク情報に振り回されないように、情報の真贋を見抜く本質的な基準を持つこと。それも多面的に判断できる正しい情報源を持つ。第三者の視点で疑う。ということでしょうか。

今日明日という短期間の情報ソースだけで判断するのは危険。近視眼的な情報だけインプットすると右往左往して信用も失います。オオカミ少年状態に陥ります。包装業界にいる人達は良く分かっている事なのですが。包装の形状や素材は類似していても、使われる産業用途は多岐に渡ります。モノが動くには包装が必要です。食品、医薬品、化粧品、雑貨、工業製品、電化製品、建築関連、それらを構成する部材や素材そのものにも包装は必要です。新しい商品が販売される前には、必ず包装に関して依頼や相談があります。

もちろん商品を販売する競合他社の情報も持っています。ありとあらゆる産業のトレンド情報を掴んでいるのは包装業界で働く人々です。多方面からの情報を合わせて判断することが重要だと思います。


本記事は、NewsPicks Expertに登録する各業界のエキスパートが、自身の経験から「専門領域の情報をどう選び、取り込み、仕事に活かしているか」を言語化する寄稿企画「#インプットの流儀」の一編です。

情報源の選び方、取り込む習慣、整理・消化の方法、専門外からのインプットといった多様な視点からの寄稿は、以下の一覧ページよりご覧いただけます。

https://newspicks.expert/media/category/input-style

「インプットしているのに、うまく仕事につながらない」——そんな感覚は、多くのビジネスパーソンに共通するものです。本記事で描かれた情報の選び方・取り込み方・活かし方が、ご自身の型を見直し、次の一歩を踏み出すきっかけとなることを願っています。

一人のエキスパートが培ってきた情報との向き合い方は、言語化され共有されることで、業界や職種を越えて応用できる知見になります。こうした知見がどのような現場で生まれているのか、続けてお届けしていきます。

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