先に手を挙げ、偶然を買いに行く。滋賀県の中小企業診断士のインプット習慣 / #インプットの流儀

公開日: 2026-06-29

「#インプットの流儀」とは、各業界の第一線で活躍するNewsPicks Expertのエキスパートが、専門領域の情報をどう選び、取り込み、アウトプットできる状態にしているかを語る寄稿企画です。

情報が溢れ、AIが瞬時に答えを返す時代に、「何を読むか」だけでなく「どう読み、どう消化し、どう自分の思考につなげるか」というプロセスにこそ、専門家それぞれの個性と知的な流儀があります。

本記事では、情報源の選び方から、取り込む習慣、整理・消化の方法、そして専門外から得ているインプットまで、オカピー・パートナーズ 代表・中小企業診断士の岡実氏の情報処理の全体像を描きます。

「優秀な人はどんなふうに情報と向き合っているのか」——その問いへの一つの答えが、ここにあります。

EXPERT

専門領域の情報収集において、特に大事にしている情報源 

特定のメディアをじっくり読み込む、というタイプではありません。どちらかというと「出す場所」が先にあって、それに合わせて情報源を使い分けています。

セミナーや勉強会で発表する機会が決まると、そのテーマの本を買い、ネットで調べ、生成AIにも聞いてみる。案件が決まった途端に情報収集が一気に具体的になるんですね。この順番が、どうも自分には合っているようです。

日常的に頼りにしているのはGoogleアラートです。専門領域のキーワードを登録しておくと毎日メールが届くので、気になった記事をさらに調べてSNSに投稿しています。読んで終わりにせず発信までやると、不思議と記憶に残ります。

それからもうひとつ、紙の新聞です。今年から日経新聞と京都新聞の滋賀版を、朝の散歩の途中にコンビニで買って読むようにしました。ネットやSNSだと、どうしても自分の関心に沿ったものしか目に入ってこない。紙面をめくっていて偶然飛び込んでくる情報を大事にしたい、と思ったのがきっかけです。

専門領域の情報を自分の中に取り込み、使える状態にするために工夫していること

インプットの質を一番左右しているのは、「アウトプットの予定を先に入れてしまう」ことだと思っています。

セミナー講師の依頼が来たら、まず引き受ける。FA設備技術勉強会や診断士協会のDX研究会で発表者の募集があれば、まず「やります」と手を挙げる。テーマが決まってから「さて、何を話そうか」と考え始めて、そこから本を買ったり生成AIで調べたり、集中してインプットする。このやり方を、もう何年も続けています。

実際、DX研究会で生成AI活用の事例を発表したことがきっかけで、製造業向けの生成AIセミナー講師の仕事につながりました。先に手を挙げたからインプットが深まり、それがそのまま次の仕事の種になった、というわけです。

日経の朝刊コラム「春秋」を毎朝40文字に要約する習慣も、同じ発想です。約400字のコラムを40文字まで削る作業を、4年近く続けています。「SNSに投稿する」という出口があるから続けられるんですね。ちなみに毎日1万歩のウォーキングは9年目になりました。瞬発力で手を挙げて、あとはしつこく続ける。どうやらこの組み合わせが自分の型のようです。

専門外の分野で、自分の仕事や思考に意外な形で効いている情報源や習慣

意識してやっているのは、「偶然を取りに行く」ことです。

秋元祥治さんの著書で紹介されていた「1日1初体験」という考え方に影響を受けて、小さなことでもいいので、今までやったことのないことを試すようにしています。

なかでも続けているのが、本屋で「絶対に自分では選ばない雑誌」を買ってみることです。これまでに手に取ったのは、専門料理、洋食ビジネス、そして月刊養豚界。養豚を始める予定はまったくないのですが、読んでみると業界ごとにまるで違う課題やビジネスの仕組みがあって、自分の専門領域を外から眺め直す視点をもらえます。

朝の散歩で買う紙の新聞も、この「偶然の入口」になっています。広告欄で見かけた雑誌をそのまま買ってみたり、普段は素通りしそうな分野の特集を読んで、あとからネットで調べてみたり。展示会や工場見学に自腹で足を運ぶのも同じ発想で、ネット検索では出会えない情報との接点を、意識して作るようにしています。

私の「インプットの流儀」を言葉にすると

自分のインプットの流儀をひとことにすると、「先に手を挙げて、偶然を買いに行く」でしょうか。

アウトプットの場に先に飛び込めば、インプットの方向と締切が決まる。一方で、紙の新聞や見知らぬ雑誌、自腹の展示会で偶然出会った情報が、思いがけず仕事の引き出しを広げてくれる。この「目的のあるインプット」と「目的のないインプット」を両方とも日常に組み込んでおくのが、自分なりのバランスです。

独立してあらためて気づいたのは、会社員時代は社内の会議や同僚との雑談から、ずいぶんたくさんの情報を無意識にもらっていたんだな、ということです。独立した今、その代わりになるのは自分で作った仕組みしかありません。だからこそ、手を挙げる場と、偶然が入ってくる余白の両方を確保するようにしています。

明日の朝も、散歩の途中でコンビニに寄って新聞を買います。広告欄に何が載っているかは、開いてみてのお楽しみです。


本記事は、NewsPicks Expertに登録する各業界のエキスパートが、自身の経験から「専門領域の情報をどう選び、取り込み、仕事に活かしているか」を言語化する寄稿企画「#インプットの流儀」の一編です。

情報源の選び方、取り込む習慣、整理・消化の方法、専門外からのインプットといった多様な視点からの寄稿は、以下の一覧ページよりご覧いただけます。

https://newspicks.expert/media/category/input-style

「インプットしているのに、うまく仕事につながらない」——そんな感覚は、多くのビジネスパーソンに共通するものです。本記事で描かれた情報の選び方・取り込み方・活かし方が、ご自身の型を見直し、次の一歩を踏み出すきっかけとなることを願っています。

一人のエキスパートが培ってきた情報との向き合い方は、言語化され共有されることで、業界や職種を越えて応用できる知見になります。こうした知見がどのような現場で生まれているのか、続けてお届けしていきます。

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