専門領域の情報収集において、特に大事にしている情報源情報源は個人単位で評価すべきであり、その人物が持つ専門性、政治的スタンス、そして現在置かれている状況が極めて重要である。■ 専門性コメントの根拠が、自身の取材に基づくものなのか、統計データに基づくものなのかは大きな違いである。特に、一次資料を丁寧に読み込み、比較分析を行う人物は信頼に値する。例えば、公文書が公開されてから30年を経て明らかになる事実を丹念に読み解き、歴史的事象を現存する史料から検証する姿勢は重要である。歴史研究は本来、修正主義的であるべきであり、宮脇淳子氏によるジュンガル・モンゴル視点のアジア史観は、その意味で非常に説得力がある。■ 政治スタンス政治的立場は非常に微妙な問題を孕む。中国や米国に関して言えば、大手メディアは中国批判を好む傾向があり、その論調に乗る専門家も多い。こうしたメディアのシナリオに沿って発言する専門家の分析や取材内容は、必ずしも信頼できるとは限らない。その点、中国問題では遠藤誉氏のように、自ら英語や中国語の公文書を読み解き、事実に基づいて分析する人物は貴重である。幼少期に中国共産党支配下の東北地方で悲惨な経験をした背景から、中国の甘言の裏側を読み解く姿勢には一貫性がある。■ 現在の状況端的に言えば、「売り出し中」であるか否かが重要である。売り出し中のコメンテーターは発言が過度に刺激的になりがちで、注意が必要である。一方で、長年にわたり専門分野を掘り下げ続けている研究者は、より信頼に足る。過去の発言や著書を確認すれば、その一貫性は概ね判断できる。中国分野では、柯隆氏がその典型である。日本留学以降、経済研究所時代から現在に至るまで、所属が変わっても個人として地道に分析を続けている。中国人でありながら英語文献も含め多角的に中国経済を検証する姿勢は、遠藤氏と同様に高く評価できる。テレビや新聞報道はユニーク性がないので、最近見なくなった。専門領域の情報を自分の中に取り込み、使える状態にするために工夫していること賛成・反対の両方の意見を参照し、それぞれが「事実」に基づくものか、「意見」に過ぎないのかを分類していくことで、自然と信頼性の高い情報にたどり着く。このプロセスは、政治スタンスの見極めにも近い側面がある。また、情報にユニーク性があるかどうかも重要である。ユニークであるということは、それ自体が高い価値を持つ。さらに、そのユニークな情報が裏付けを伴っている場合、その情報源は継続的に活用できる可能性が高まる。米国を例に取ると、民主党政権寄りの情報源を主に活用するメディアは多数存在する。そのような場合、共和党側の情報ソースも併せて読むことで、分析の角度が深まり、バランスの取れた理解に近づく。やっぱり夜寝る前と朝に継続的にインプットするのがいいですね。専門外の分野で、自分の仕事や思考に意外な形で効いている情報源や習慣ビジネス書や経済分野を中心に読み進めていると、歴史や思想史を参照することが非常に興味深いと感じる。モンゴル史から中国各省の成り立ち、「上に政策あり、下に対策あり」という思考様式、ベトナムのアオザイがモンゴル由来であること、韓国のハングル文字の成立、日本に豊富な史料が残されていることから読み取れる日本の国民性など、いずれも歴史的背景に根ざしている。一見、日本とは大きく異なるように見えるインドも、実際には日本との共感性が高い。米国とは英語以外に共通点が少ないと感じる一方で、インドに対しては自然と親近感が湧くのは、仏教に由来する禁欲的な精神性が影響している可能性がある。インドのPGDで学んだ際、企業のシックスシグマや品質教育に対する姿勢について、インドのテキストが日本企業を非常に高く評価していた点が印象的だった。論理的に説明するのは難しいが、文献を読み込むうちに、その評価の背景がなんとなく理解できるようになった気がする。論理的なことを非論理的な意見や周辺情報を織り交えると、会社内では結構説得力が高くなったのが実感できる。私の「インプットの流儀」を言葉にすると事実に基づき、多角的、継続的に行うことである。事実と多角的は上記で多く述べてきたが、継続的に行うことがインプットの流儀である。PCや本を読んでいる時だけが、情報を整理するだけではない。休んでいるとき、リラックスしているとき、寝ているときも脳の活動はしている。継続的にインプットをすることにより、点と点、線と線、それが面と面になった時に非常に喜びを感じる。社会人になってから、一時、仕事が忙しく、インプットの時間が短い時期があった。今になって、専門のマーケティングをベースにしてきたことが良かったと思っている。入山章栄氏の著書「世界標準の経営理論」は頭の整理をするには非常にいい著書である。中国やインドの歴史が加わると、味のあるものに変わる実感がしている。ロジカルに説明が困難ではあるが、マーケティングの価値を届ける分野においては、相手の価値を知ることが非常に重要であることを実感している。継続的にインプットすると、どのようなコンテンツに出会うかわからないが、良いコンテンツに出会ったときの喜びは忘れられない。好きなことを少しの時間でもインプットしていれば、継続性もあるし、将来的にはそのインプットがつながりが出る可能性があるので、悩んでる人がいれば是非継続して参考にしていただきたい。本記事は、NewsPicks Expertに登録する各業界のエキスパートが、自身の経験から「専門領域の情報をどう選び、取り込み、仕事に活かしているか」を言語化する寄稿企画「#インプットの流儀」の一編です。情報源の選び方、取り込む習慣、整理・消化の方法、専門外からのインプットといった多様な視点からの寄稿は、以下の一覧ページよりご覧いただけます。https://newspicks.expert/media/category/input-style「インプットしているのに、うまく仕事につながらない」——そんな感覚は、多くのビジネスパーソンに共通するものです。本記事で描かれた情報の選び方・取り込み方・活かし方が、ご自身の型を見直し、次の一歩を踏み出すきっかけとなることを願っています。一人のエキスパートが培ってきた情報との向き合い方は、言語化され共有されることで、業界や職種を越えて応用できる知見になります。こうした知見がどのような現場で生まれているのか、続けてお届けしていきます。