専門領域の情報収集において、特に大事にしている情報源特定のアウトプットを前提に、情報源を固定して情報収集してはいません。むしろ、日々の生活の中で興味を持ったこと、知らなかったこと、違和感を覚えたこと、あるいは別の分野と似ていると感じたことを起点に、人に聞く、検索する、本を読む、現場に足を運ぶといった形で情報に触れています。そのうえで大事にしているのは、情報を単独の知識として蓄積することではなく、異なる情報同士を結びつけ、背景にある構造を考えることです。最近は、頭の中にぼんやり浮かんだ仮説や違和感を、複数のAIと対話しながら整理することも多くあります。単なる「壁打ち」というより、自分の発想にはない返答を受け取り、それを咀嚼し、再び投げ返すことで、考えを深めていく「ラリー」感覚に近いです。その意味では、私にとって重要な情報源は、特定のメディアや人物に限られるものではありません。日々流れ込んでくる情報のフローそのものを結びつけ、AIも思考拡張の道具として使いながら、自分の考えを言語化し、構造化していくことを大切にしています。情報とは集めるものではなく、結びつけるもの、あるいは区別するものだと思っています。専門領域の情報を自分の中に取り込み、使える状態にするために工夫していること現在、複数の領域で活動していますが、情報を取り込む際の基本姿勢は、商社勤務時代の水産ビジネスで培った視点が一つの基盤になっています。水産ビジネスは、自然資源、需給バランス、為替や相場のリスク、国際規制、消費者ニーズの変化など、あらゆる複雑な要素が絡み合う総合格闘技(?)です。その経験から、情報を単独で見るのではなく、異なる領域の情報同士を比べ、背景にある「共通構造」を探す習慣がつきました。具体的には、ある情報に触れたときに、「これは別の業界や地域で起きていることと似ていないか」「同じ構造に見えるのに、なぜ結果が違うのか」を自然と考えるクセがついています。そのために、人に聞く、現場を見る(=一次情報)、本を読む、検索する、そしてAIと対話して一次情報の検証や抽象化を行う、というプロセスを組み合わせています。そうして得た具象・抽象の情報をそのまま蓄積するのではなく、類似点、差異、背景にある構造を整理し、「自分の言葉で説明できる状態」にすることを常に意識しています。専門外の分野で、自分の仕事や思考に意外な形で効いている情報源や習慣専門外の分野で得た情報も、後々、意外な形で仕事に役立つことが多いように感じます。何かの事象に触れたときに、まず「これは何かに似ていないか」「どこが違うのか」を考えます。そして、その違いがなぜ生まれるのかを掘っていきます。自分の中では、かなり関西弁の感覚ですが、「これはなんでや?」「ほんまか?」「ほんまやとしたら、なんでそうなるんや?」と問い続けている感じです。この問い方が、専門外の情報を単なる雑学で終わらせず、自分の仕事や思考に引き寄せる入口になっているのだと思います。実際、歴史、料理、地域文化、人との雑談、ニュースなど、一見仕事と関係のない情報が、後になって地域プロジェクトの設計や事業計画作成、テレビ番組のシナリオ作り等の文脈で生きることがあります。専門外の情報そのものというより、そこから共通構造や違和感を見つける習慣が、自分にとっての越境的な情報源になっているように感じます。私の「インプットの流儀」を言葉にすると好き嫌いを言わずに、とりあえず食べる。そしていったん溜め込み、あとで咀嚼する。私のインプットの流儀は、その感覚に近いです。最初から役に立つかどうかを決めつけず、違和感のあるもの、専門外のもの、よく分からないものも、まずは受け取ってみる。すぐには意味が分からなくても、頭の中に残っていれば、後になって思いがけず別の情報とつながり、共通の構造が見えてくることがあります。情報は、集めるものというより、食べて、咀嚼して、消化し、自分の言葉に変えていくものだと思っています。ただし、身体に入れるものを選ぶように、情報にも質があります。だからこそ、面白さや違和感を大切にしながらも、できるだけ信頼でき、頭に良い栄養になるような情報を選ぶことも意識しています。本記事は、NewsPicks Expertに登録する各業界のエキスパートが、自身の経験から「専門領域の情報をどう選び、取り込み、仕事に活かしているか」を言語化する寄稿企画「#インプットの流儀」の一編です。情報源の選び方、取り込む習慣、整理・消化の方法、専門外からのインプットといった多様な視点からの寄稿は、以下の一覧ページよりご覧いただけます。https://newspicks.expert/media/category/input-style「インプットしているのに、うまく仕事につながらない」——そんな感覚は、多くのビジネスパーソンに共通するものです。本記事で描かれた情報の選び方・取り込み方・活かし方が、ご自身の型を見直し、次の一歩を踏み出すきっかけとなることを願っています。一人のエキスパートが培ってきた情報との向き合い方は、言語化され共有されることで、業界や職種を越えて応用できる知見になります。こうした知見がどのような現場で生まれているのか、続けてお届けしていきます。