転職・フリーランス・起業・兼業などキャリアの多様化が進んでいく中、まずは本業に軸足を置きながら始められる「副業」に取り組むビジネスパーソンが増えています。そんな中、副業を始めたいと思っても「どのようなスキル・経験が求められるのか」「どのくらいの時間が必要なのか」などのイメージが持てず、踏み出せていない人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「経験が価値になる。キャリアアップにつながる副業の始め方」をテーマに開催したセミナーの本編と一部Q&Aの内容を再編してお届けします。キャリア選択や副業の始め方に悩んでいる方の参考になれば幸いです。【こんな方におすすめ】・転職は考えていないが、将来に向けてキャリアの幅を広げておきたい・副業をした方がいいと感じているが、何から始めればいいのかわからない【登壇者】石渡 佑矢株式会社ミーミル NewsPicks Expert事業統括ステップ1. 「キャリアアップにつながる副業」を定義するまずは、自分が何を求めて副業に取り組もうとしているのか、言語化するところから始めてみてください。「キャリアアップ」と聞いて何を思い浮かべますか? キャリアアップに関するキーワードとして、転職、昇格・昇進、年収アップ、スキルアップなどがあるでしょう。ここで押さえておきたいのが、「狭義のキャリア(職業キャリア)」と「広義のキャリア(人生キャリア)」という考え方です。【 狭義のキャリア(職業キャリア) 】・職務経歴・仕事で得られた経験・獲得したスキルや知識【 広義のキャリア(人生キャリア) 】・生涯の経験や役割の積み重ね・生き方・人生の過去、現在、未来一般的に想像されるような狭義のキャリアとして、仕事で年収アップや昇進を目指すだけでなく、自身の人生がどのように豊かになっていくのか、という視点で広義のキャリアもイメージしてみてください。もう一つ、「PL型キャリア」と「BS型キャリア」という概念もあります。【 PL型キャリア 】・フロー型(短期視点)・売上-費用=利益・短期収入-投下時間=市場価値・短期の幸福度【 BS型キャリア 】・ストック型(中長期視点)・資産=負債+自己資本・幸福度・持続的に通用する市場価値や将来的なリターン=新しい挑戦への投下時間や短期改善の低さ+信頼残高や人的ネットワーク参照:書籍『キャリアづくりの教科書』(徳谷智史 著/NewsPicksパブリッシング)「PL型キャリア」だけを追求することもよいですが、短期的な収入を得るために時間を投下して疲弊してしまう人も多くいます。「BS型キャリア」では、たとえば「今は収入や利益にはつながらないけど、将来的に自身の気持ちや生活にリターンがある」ということを意識して経験を積み重ねていきます。人的ネットワークや信頼残高を積み上げて、自己資本を作り上げていくことも大切です。皆さん自身の言葉で「キャリアアップにつながる副業」を定義し、BS型キャリアを目指していくのがよいのではないでしょうか。このようにキャリアには幅広い定義がある中で、皆さんが副業に求めていることは何でしょうか? 副収入を得たい、得意なことを活かしたい、新しいチャレンジをしたい、といった思いを持たれている方もいると思います。たとえば『NewsPicks Expert』で活動しているエキスパートの方にエキスパート登録の理由を質問したところ、「これまでの知識や経験を本業以外で試したかった」「知識やスキルの幅を広げたかった」という登録理由が上位にあがりました。副業を始めたい理由、副業に何を求めているのか、を理解しておきましょう。ステップ2. 目指したい目標とマイルストーンを考える副業において目指したい目標とマイルストーンを、納得感をもって設定しておくことをおすすめします。短期的に「まずはお金が稼げればいいや」と始めたときに、本当は実現したいことがあったのに短期的な目標を満たす行動で手一杯になってしまい、なかなか実現できない可能性もあります。目標は10年先ではなく、半年先、1ヶ月先、来週といった短期間の目標で構いません。目標を立てるときは、フレームワーク「SMART」を活用すると分かりやすく、期限内に達成可能な目標に近づきます。Specific(具体的か)Measurable(測定可能か)Achievable(達成可能か)Relevant(上位目標と関連性があるか)※自身の価値観や中長期的な方向性と関連性があるかTime-bound(期限が設定されているか)目標を設定できたら、マイルストーンを設定して行動に落とし込んでいきましょう。ステップ3. 経験・知識を見える化して、自身の価値を見つける経験や知識が豊富なところで副業にチャレンジしたほうが、成功確率はおのずと高くなると考えられます。これまでの経験を具体と抽象で考えて言語化してみましょう。<具体的>・職務経験・専門領域・社歴、社外活動・これまでに得られた経験、知識・成功 / 失敗エピソード・成果、実績 など<抽象的>①⚫️⚫️⚫️⚫️に関する経験XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX②⚫️⚫️⚫️⚫️についての知識XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX③⚫️⚫️⚫️⚫️のスキルXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX経験や知識を見える化することで、「このあたりの経験や知識が活かせるのではないか?」と思い浮かんでくると思います。もしかすると「私の経験に価値はあるのだろうか?」と思う人がいるかもしれませんが、経験には確かな価値があります。経験は一人ひとり異なります。ミックスされた経験から生み出されるアウトプットは、その人にしか出せないオリジナリティが溢れていて、価値があります。所属企業では当たり前の知識も、日本全体、世界全体で捉えると、その知識や経験を持っている人は一握りしかいないということもありえるわけです。だからこそ、社内だけでなく社外活動や副業を通して外部の方からフィードバックを受け取ることが大事です。職務経歴書を定期的に更新することも、どんどん解像度を高めていく機会になるためおすすめです。他にも、友達に話してみたり、得意なことを活かして一回無償で試してみたり、日記をつけて言語化したりすることもよいでしょう。【経験の価値を見つける方法】社内でフィードバックを受ける社外活動を通じてフィードバックを受ける職務経歴書を定期的に更新する友人や知人、キャリアエージェントと話す自分の得意な分野について他者に教えてみるブログや日記をつける などステップ4. 「相手が求めている×自分が提供できる×競争相手が提供できない」を副業に誰に何を提供するのかを考えていきましょう。相手が求めていること(困っていること)と、自分が提供できること、なおかつ競争相手が提供できないところの重なりを意識してみてください。この重なっているところが強ければ強いほど、副業が成立する可能性があります。自分のオリジナリティも出せるでしょう。そうはいっても「誰がどのあたりで困っているのか分からない」「私の知識や経験はどんな人に求められているのだろう」といった声も多いです。そんなときには、マーケティングの基本プロセス「R・STP・MM(4P)」に沿って考えると進めやすいです。Research:課題やニーズを調査するSegmentation:市場を細分化するTargeting:市場を特定するPositioning:立ち位置や訴求内容を決めるMarketing Mix:提供する内容や方法を決めるリサーチの方法としては、友人・知人と話してみる、SNSで発信して反応を見てみる、交流会などで話を聞いてみる、副業の案件を紹介しているサービスに登録してみるといったやり方があります。市場をセグメンテーションしたあと、自分の経験・知識・サービスを提供する相手を特定します。例えば、提供する対象が企業なら規模が大きく上場している小売業、個人が対象なら地方在住の30〜40代の学びに関心がある人、などのようにターゲティングします。自分の経験・知識・サービスの提供先を考えることで、何をすべきかが見えてくると思います。合わせてポジショニングにおいても、100分の1の強みを3つ掛け合わせると100万分の1の強みになり、希少性が出るという話があります。提供内容や提供方法を考えるときは、顧客視点の「4C」と自分視点の「4P」で考えてみてください。4Pが有名ですが、顧客にとっての価値や利便性なども重要な視点です。【 4C(顧客視点) 】Customer Value:顧客が受け取る価値Customer Cost:顧客にとっての負担Convenience:顧客にとっての利便性Communication:顧客との対話【 4P(自分視点) 】Product:製品Price:価格Place:流通Promotion:販売促進ステップ5. まずは最初の一歩を踏み出してみる最後は「行動する」です。計画する方は多くいますが、実際に行動する方はなかなかいません。行動してみるといろんな情報が入ってくるようになりますし、PDCAも回すことができます。まず最初の一歩を踏み出してみてください。実際に一歩踏み出してNewsPicks Expertに登録し、エキスパートとして活動している方々を対象にアンケートを実施したところ、本業にも良い影響があったことが分かっています。インタビュー案件やコメント案件を通じて、クライアント企業の適切な課題を設定する「仮説構築力」や、指定の文字数に収めて回答する「情報整理力」「文章力」、第三者に分かりやすく伝える「対話力」「プレゼン力」などのスキルが身に付くことから、ポジティブな影響を感じているのではないかと思います。最後に、ある論文では「自己決定度の高い人の方が、幸福度が高い」という調査結果が示されています。自分自身がどんな選択をして新しいキャリアを作っていくのか、自己分析を行って目標を考えてみてください。皆さんが持っている経験や知識を活かし、新しい一歩を踏み出すことで、望んだキャリアが築かれていくことを願っています。登壇者プロフィール石渡 佑矢(Yuya Ishiwata)株式会社ミーミル NewsPicks Expert事業統括早稲田大学卒業後、輸入車販売店、市場調査会社を経て、インテージに入社。2社のリサーチ会社を通じて飲料、食品、化粧品、小売、エンターテインメントなど、日本を代表する企業各社のマーケティングに伴走。マーケティング戦略、ブランド戦略、コミュニケーション戦略、新商品開発など、500件以上のプロジェクトを支援。自社の事業戦略、経営企画を経て、BtoBマーケティング/広報を担う組織を立ち上げ推進。ストライプインターナショナルではパブリックリレーションズ本部長としてアパレル事業や飲食事業など、BtoC事業全般におけるPR/マーケティングコミュニケーションを統括。2020年、マーケティング責任者としてスタートアップのミーミルに参画。現在NewsPicks Expertの事業責任者として国内外のマーケティング/ブランディング/事業開発/アライアンスを管掌。知見循環の拡大やビジネスパーソンの活躍機会拡大に注力している。現職に就きながら、企業各社のマーケティング戦略立案や内製強化を支援するMarketing Incubateを起業。様々な業界/商材/企業規模における15年以上のマーケティング経験と知見をもとに、大手上場企業やスタートアップのマーケティング/広報/ブランディング/PRを支援している。<講演>ad:tech(アドテック)、宣伝会議サミット、アドタイ・デイズ、ライフスタイルWeek、グロービス経営大学院、京都大学経営管理大学院、九州大学大学院など<著書>デジタル時代の基礎知識 『リサーチ』 多彩なデータから顧客の「すべて」を知る新しいルール(翔泳社)「NewsPicks Expert」とはNewsPicks Expertは、「個人の知見」を「企業の意思決定」につなぐエキスパートプラットフォームです。クライアント企業から様々な相談を受け、これまでの経験や知見を活かした見解やアドバイスを伝えることで報酬を得ることができます。現役会社員が登録者の7割以上を占めており、所属企業でのお仕事を続けながら、30分〜1時間程度のスキマ時間を有効的に活用して挑戦しています。仕事で培ってきたスキル・経験・知見を、所属企業以外で活きるかを確かめてみることから始めませんか?