適切な判断をし続けるために、どんな意思決定プロセス・基準・情報をやめた/減らしましたか?自部門の業務を適切な範囲で回すために、他部門が行うべき業務へのおせっかいな介入(こうあるべき論)をやめたところ、物事を俯瞰して、適切な判断ができるようになった。たとえば、製品の試験方法について、通常とは異なるやり方で実施したいが問題ないかとの質問を受けた場合、RAで是非を判断するのではなく、まずは必要な書類を作成してもらい、その内容をもって、可能性を考えるようになり、部門内にもその手法をレクチャし、浸透させている。それによって、自部門では本来不可能な判断が原因でトラブルが発生し、自部門の責任を追及されるリスクを避けつつ、本来は他部門が考えるべきロジックを本来の形にすることによって、他部門への啓蒙も行うことができる。その状態が続いていたことで、判断の遅れや質の低下はどのように生じていましたか?当初は、どうしても、よかれと思って余計なところまで介入したり、考えがまとまらないことによって、案件が前に進まなかったり、不本意な責任追及を受けることもままあった。他部門のロジックを尊重して手続きを行ったことで、審査者側から、ある意味想定内の質問や疑義照会をうけることもあり、手続きがいったん白紙に戻ることも時折発生した。自分自身は、それらの事象を生みの苦しみだと考えており、徐々にそういう考えが浸透することで、自部門だけに判断や責任が押し付けられることが減少していくと信じていたことから、自分自身、また部門内においても、その考え方の重要性を話し、説き、場合によっては実践してもらうことで体に刻み込んでもらっている。その判断を見直す際に、最後まで捨てきれなかった基準や期待、トレードオフは何でしたか?自部門と他部門のやるべきことに一線を引き、他部門の領域まで介入しないという判断を見直す際に、最後まで捨てきれなかったのは、「いい人だと思われたい。こういうことをいうと、自分を頼りにしてもらえなくなるのではないか、村八分にされるのではないか」といった、社内組織から疎外されるのではないかという、組織人特有の恐怖感であった。自分が主担当者として業務を行っている間は、期待に応えたいと、本来は誰もそんなことを思っていないにもかかわらず、変なプライドに取りつかれて、やるべきではないことにまで手を出していた。その結果、かえって他人を失望させ、次回はもっと頑張らないと、という、負のループに入っていたように考える。やめる・減らす判断をしたことで、今はどんな基準やルールで意思決定できるようになりましたか?やめる・減らす判断をしたことで、今では、自部門だけではなく、他部門の業務を、上から俯瞰してみることで、全体を把握でき、何が最適解なのかを客観的に思考し、それにそって意思決定できるようになった。私たちの業務は、基本的に法規制や業界ルールが厳然として存在し、拡大解釈は許されない。いっぽう、そうであるがゆえに、法解釈や運用の解釈が可能な社外審査者からのお墨付きを得ることで、それを錦の御旗として社内に周知し、その後の業務のあるべき方向性を浸透させることができるようになった。企業や組織によっては、複数の領域にわたる(あいまいな)職務分掌がなんとなく存在し、あれこれと手を出さなければいけない立場の人もおられるが、分をわきまえることは、適切な判断を行う上での余裕を生むことができる。もし意思決定・判断に迷っている人がいるとしたら、今すぐ1週間で問い直すとよい具体的なポイントは何だと思いますか?もし意思決定・判断に迷っている人がいるとしたら、1週間でできるであろうことは次のとおりであろう。自部門(自分)の業務が、客観的なルール(法律、ガイドライン、業界ルール)を根拠としているかを改めて見直す。自部門(自分)の業務が、他部門と関連しているところをいくつか抽出してみる。2. について、客観的なルール等に鑑みて、どの部門がイニシアチブを握るべきか(ドキュメンテーションや論理構築を含む)を考える。3. について、自部門(自分)が主幹業務ではない(是非を判断する立場にない)と考えたものは、他部門に根拠資料や書類を作成してもらい、それが社外の審査に耐えうるかを、客観的に考える。4. について考えた結果、自部門(自分)では最終判断ができない場合、その内容をもって手続きを行う。決して、客観的な根拠に基づかない、自分視点での”あるべき論”を主張しない。本記事は、NewsPicks Expertに登録する各業界のエキスパートが、自身の経験から「やめたこと・減らしたこと」を言語化する寄稿企画「#引き算の仕事術」の一編です。思考や意思決定、専門性、マネジメントといった多様な視点からの寄稿は、以下の一覧ページよりご覧いただけます。https://newspicks.expert/media/category/subtraction-workstyleこうした経験の言語化は、日々の実務の中で積み重ねられてきた知見そのものでもあります。本記事を通じて生まれた視点や問いが、これからの働き方やキャリアを見つめ直すきっかけとなり、それぞれの現場での新たな選択へとつながっていくことを願っています。実務の中で培われた経験は、言葉にして共有されることで、企業の中で意思決定を担う人を支える知見へと変わります。こうした知見が生まれる場についても、続けてご紹介します。