実力不足での再試を続けるために、どんな考え方・情報源・習慣をやめた/減らしましたか?実力不足に対する再試を続けるために、紙の再試を減らしました。私は近代経済学系の大学教員です。定期試験は実力不足での再試が許されていない大学が少なくありません。そのため定期試験での単位認定では学んでほしい項目を色々入れると理解していなくて単位を落とすか、理解していない感覚はある中でそれでも拾い上げて甘めに単位を出すしかありませんでした。これでは1度の理解不足をやり直すということは出来ません。そのため、実力不足に対する再試は(とりわけできるまで取り組ませる場合は猶更)平常点扱いの授業内テストで行う必要があります。旧来は50分位かかる(対面マークシートの)授業内テストの形式のまま数値や選択肢などを変えて紙面で再試を実施していました。その講義の曜日の昼・3限に再試は実施し、それ以外に定期試験終了直後位の時期を見計らって「再試最終日」を丸1日設けて再試を「通過するまで」スキャナを持ち込んで引き受けていました。実力不足に対する再試を続けるために紙の再試を止め、単元毎のオンラインテストの形に切り替えました。それを続けていたことで、視点の偏りや意思決定の歪みはどのように生まれていましたか?紙の再試では各回の再試にマークシートとスキャナ・問題を持っていく必要があり、お昼の時間開始から実施できない場合は授業補助員の手配なども必要で、手配できないときは2限の講義教室に講義終了5分前位から入れる手配もしながら2限の受講生に睨まれる事もありました。また、「再試に必要な教室」の確保が最後まで必要で、定期試験週間後に「部屋を確保させてほしい」などの依頼を(教務課に睨まれながら)する必要がありました。加えて、再試最終日は受講生を宥めるための飲み物・軽食など自費で用意し自分で朝から夜までなかなか通過できない受講生に色々言われながら耐え続ける必要があり、その日には都合が付かないから別日に何とかしてほしいとか、その日に最後まで終わらず文句言われるのを耐えていたとかもありました。そして、授業内テストの本試相当の形で再試は課していたため、分量は相応にかかり、採点するにもマークシートの読み取りその他の作業も必要だったことから、3限がある学生まで3限に行かず再試を受けていた事例も有り、そのチェックもできなかったため3限の先生方にもご迷惑をおかけした面がありました。やめる・減らす判断をする際に、最後まで手放しづらかった考え方や立場、失うと感じたメリットは何でしたか?監視体制でしょうか。フォームを利用した再試ではどうしてもスマホやPCを開くので、「見るな」ということを完全にできる訳ではありません。問題傾向などを全く示さずにというのは受講生が通過してくれないので、どうしても問題傾向は示しておく必要があるのですが、それを持ち込まれて受けられるとそれだけで有利になる部分は否めず、その部分の在り方は最後まで悩みました。一方で予め問題傾向のPDFなどを開いておいて画面の下に敷いておき、その上から再試の画面を開いたとしたら完全に防ぐのはスクリーンを撮り続ける等でもしない限り難しいです。ワイヤレスイヤホン等で髪に隠して音声を流し続けてカンペ代わりにされる危険性もありました。また、スマホやPCで受けるので、LINE等で相談された場合の対処が出来なくなる面は紙の再試を手放すのが怖かった点でした。その単元の再試を通過した友人に相談するなどの危険性は高いと感じていました。加えて、これまで紙の再試ではマークシートにおいて選択肢項目での「理解しない正解」を防ぐために、どこを誤っているか敢えて伝えていませんでした。しかし、ここは残してもオンラインテストならではの「出題順の変更」と、そして多くの単元で入れておいた「計算結果を答えさせる」計算問題で正解を伝えないことで、単元毎には簡単には通過できない在り方は残せました。手放したことで、問いの立て方や物事の見え方、行動や成果はどのように変わりましたか?まず授業内テストの再試における「無理をする」ことが減りました。単元毎の実施であれば3限があってもお昼の時間の中で解く単元だけと希望者が来られるようになりました。そのため、2限・昼・3限と通して取れる部屋が無くても昼・3限だけ通せれば使えるので、部屋の確保依頼もし易くなりました。授業補助員を設定しなくても2限が終わってから駆けつける形も取れるようになりました。理解度を確保する観点では単元毎に通過するまで課せば良い訳で、全単元一括である必要は無く、今回はこの単元を勉強し直して、という場合でも再試をお受けできるように変わりました。再試最終日に「残された受講生を集める」必要も無くなり、そのために無理な部屋を定期試験後の成績提出までの期間に確保することも無くなりました。再試を紙で行った最後は2019(令和元)年度でしたが、そのときには今年度:2025(令和7)年度のように「定期試験より後の日程で再試最終日の部屋確保が(所属大学の入試の日程により)根本的にできない日程」が待っているとは思いませんでしたが、手放したからこそ理解不足における再試が可能になりました。自分がいじれない項目(今回であれば卒業判定年次生の成績は卒業判定の関係で遅らせられません)の関係で、自分がやろうとしていることが出来なくなることがあることを踏まえて組む必要がある、ということを今回改めて思い知らされました。更には、旧来だと再試最終日は「この日までに通過しないと無理」だからということで、インフルエンザや新型コロナなどでも再試部屋に来てしまう可能性がありました(実際に他科目では或る受講生がインフル罹患中に再試最終日だからと私も他の受講生もいる再試部屋に来てしまった例がありました:授業内テストは平常点扱いのため、採点提出を公式追試の日程まで延ばすことは出来ません)が、遠隔化が組めればそういうときにうつる危険性や「来させたことで非難される危険性」も避けられます。もし今、視野や問いが狭まっていると感じる人がいるとしたら、今すぐ1週間で見直せる具体的なポイントは何だと思いますか?今のそのやり方、相当無理していませんでしょうか。5年後も続けることは出来ますか?何かが1つ崩れた場合に実施できなくなる形になっていませんか。自分の目的のための手段・経路は1つではありません。1つ1段階緩める・1つ引くことで選択肢が広がり、自分がやろうとしている項目を維持できなくなる心配を回避できるとしたら、自分の選択肢を広げた上で選ぶことは大事ではありませんか。その上で、人間は「やったことないもの」は怖いので選択肢から外したがる傾向にあります。やったことないものは1度「試行的にもやり方を試して実感してみてから」判断をしてみるということは実は大事なことになります。実はやっていないから、知らず知らずのうちに選択肢からコストを高めに見積もって外している項目はありませんか。本記事は、NewsPicks Expertに登録する各業界のエキスパートが、自身の経験から「やめたこと・減らしたこと」を言語化する寄稿企画「#引き算の仕事術」の一編です。思考や意思決定、専門性、マネジメントといった多様な視点からの寄稿は、以下の一覧ページよりご覧いただけます。https://newspicks.expert/media/category/subtraction-workstyleこうした経験の言語化は、日々の実務の中で積み重ねられてきた知見そのものでもあります。本記事を通じて生まれた視点や問いが、これからの働き方やキャリアを見つめ直すきっかけとなり、それぞれの現場での新たな選択へとつながっていくことを願っています。実務の中で培われた経験は、言葉にして共有されることで、企業の中で意思決定を担う人を支える知見へと変わります。こうした知見が生まれる場についても、続けてご紹介します。