2024-12-03

「#エキスパートアドベントカレンダー2024」とは、NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、各業界・専門領域における学びや、エキスパート活動を通しての気づきを共有する期間限定企画です。
今回は、THE KNOCKOUTISM サスティナビリティ・ストラテジストの小笠原渓氏による記事をお届けします。
小笠原渓
THE KNOCKOUTISM サスティナビリティ・ストラテジスト
欧州やアジアなどの国内外で、ラグジュアリーファッションやスポーツアパレルなどのモノづくりに関わる経験を積む。2022年、オランダにてTHE KNOCKOUTISMを事業登録し独立。現在は、オランダ発でファッション・ライフスタイル業界向けに、サステナビリティやダイバーシティーを軸としたビジネスのアドバイザリーやレポートなどのサービスを提供中。東京都生まれ、北海道小樽市育ち。
「ファッションはアートとは異なるのか」
ファッションの世界に入ったばかりの頃から、私は、ファッションはアートとは異なると刷り込まれてきた。誰もが皆がそう言っていたので、そこから、そんなものかという理解で経験を積んできた。
一方で、ファッション業界が、長年に渡り、ファッションを著しくアクセスしやすくさせてしまったことで、多くの問題を抱えるようになったようにも感じている。
私自身がここ数年テーマにしていることの一つに、ファッションやライフスタイル業界におけるサステナビリティがあるが、私自身も試行錯誤を繰り返していることも実態としてある。どこに行っても、サステナビリティとスケーリングは両立するのかという議論は頻繁に行われる。その流れの中で、2024年に入ってから、ファッションを「アートのように売る」という視点にも目を向け始めるようになった。
具体的なきっかけとして、Z世代や若年のミレニアル世代を中心にTikTokなどのSNSでムーブメントとなったアンダーコンサンプションコア(Underconsumption Core)、さらにはバングラデシュでの大規模のデモが少なからずあったように考えている。
アンダーコンサンプションコアとは、ミニマリズム(Minimalism)や質素倹約を支持するフルーガリティ(Frugality)とも共通している部分もあるものの、新たに消費主義文化に挑戦し、本当に必要なものだけを購入することを奨励している。
私自身、このムーブメントは、サステナビリティの観点においても、前進的なものと捉えている。それでも、特に先進国とされる成熟した経済圏からのそれらの発信が目立つ中で、発展途上とされるバングラデシュのような国でデモが起き、グローバル規模でのサステナビリティのムーブメントとの中で、そもそもの産業や雇用のあり方、モノの価値のつけ方を、改めて考え直し始めている。
今回のバングラデシュに限ったことではなく、大量消費を前提にした大量生産によって破壊されつつあるが、実は世界のあちこちには、本来価値がある地場のモノづくりや伝統工芸がある。(ないしはあった)それらを磨き直していくことが「鍵」なのではないかとも気が付き始めている。
言うまでもなく、サステナビリティにおいては、コンプライアンスのように当たり前にしていくことに加え、新たなイノベーション、製品の品質やライフサイクルの延長、サプライチェーンの透明性、エシカルな労働条件、消費者教育などなどの動きも継続的にとっていく必要はある。
その中で、2025年は、溢れんばかりのモノやサービスの中から選んでもらえるよう「アートのように売る」にはどうしたらいいのかも常に問い続けたい。今回は、ファッションを例にしたが、業界を問わず同じことが言えるのかもしれない。
NewsPicks Expertの登録エキスパートによる「#エキスパートアドベントカレンダー2024」。
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