料理とビジネスにおける行動プロセスの類似性についての一考察 - 伊村睦男 / #エキスパートアドベントカレンダー2024

2024-12-05

「#エキスパートアドベントカレンダー2024」とは、NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、各業界・専門領域における学びや、エキスパート活動を通しての気づきを共有する期間限定企画です。

今回は、近江大坂屋 代表の伊村睦男氏による記事をお届けします。

EXPERT

伊村睦男

近江大坂屋(天明4年創業)代表
経済産業省認定支援機関、中小企業庁登録M&A支援機関、中小企業診断士、農林水 産省農泊支援専門家。
神戸大学経営学部卒業後、三菱商事や米国カーギル社でグローバルなビジネス経験を積む。現在は経営コンサルタントとして、戦略的思考と問題解決力を活かした幅広いコンサルティングを展開。豊富な経験と国際的な視点、枠に囚われない発想力を強みとし、映画・テレビの企画・脚本家としても活躍中。
「Cool Head but Warm Heart」を信条に、鋭い洞察力と確かな分析力、自由な創造性でクライアントの真のニーズを捉え、課題を解決するソリューションを提供している。

「ビジネスに役立つ趣味は何か?」と質問されたら「料理である」と即答します。これから「さて、その心は?」を述べていきたいと思います。

基本的に最低でも1日に1食、多い時は3食を作っています。最近の発見なのですが、料理と仕事には共通点も多く、料理することで仕事にも役立つノウハウを学んだり、大事な心構えに気づいたりすることが多々あるのです。

1.料理と仕事の相関関係

以下は私の夕食の準備及び調理の行動と思考の流れになります。カッコ内は、そのアクションをビジネス的に読み替えた内容です。

私の夕食を料理する行動および思考のフロー

  • 夕方、息抜きを兼ねて買い物に出かける。
    (市場調査)

  • 本屋でレシピ本を立ち読みして主菜のメニューを決める。
    (事業計画の策定)

  • 財布の中身と相談しスーパーで買い物。特売品が魅力的だった場合はメニュー変更の場合も。
    (予算内で計画遂行するための経営資源である「モノ」の調達)

  • 帰宅後、立ち読みした料理のレシピをネットでチェック。複数ある場合は一番おいしそうなレシピを選ぶ。
    (仕入れ商品の情報収集と選定)

  • 食器と調味料の用意。ソースなども調理前に仕込む。
    (仕事は段取り八分)

  • 調理器具は使いやすい位置、見えるところにセットしておくこと。
    (文房具や書類はすぐに取り出せるよう整理整頓)

  • まず一通りレシピをよく読むこと。
    (いざ仕事に取り掛かる前に、齟齬がないよう事業計画を熟読、工程の確認)

  • 調理は素早く、手際良く。
    (仕事は早く、正確に)

  • レシピ通りに作って、味見で「どうも想像と違うな」と感じたら自分の舌を疑わず、迷わず調味料投入。何度も味を見ながら微調整。
    (計画から逸脱しそうになったら関係各所と調整しながら軌道修正)

  • お皿に盛り付ける。できるだけ綺麗に彩りを添えて。赤・緑・黄色を使うと見栄えがする。
    (プレゼンは内容だけでなく見栄えも大事)

  • 夕食の時間には完成すること。遅れそうな時は早めに家族に伝えるべし。
    (納期は守るべし・社内外との報連相も重要)

  • 主菜や副菜で翌日の朝食や家族の弁当に使えそうなものは残しておく。
    (アウトプットは使い回す)

  • 家族や友人と一緒に食べる場合は必ず料理の感想を聞く。
    (顧客へのヒアリング)

  • 最後はきっちりとあと片付けも。その際、今日の料理の良かった点、悪かった点、次回への教訓を熟考する。
    (ラップアップ)

買い物に行けない時などは、冷蔵庫の中の残り物でいかに美味しい料理を作るか(=限られた経営資源を使い、いかに最大のリターンを得るか)などと考えたりします。

2.料理で学ぶビジネスの教訓

上述した内容から次の教訓を得ることができます。

  • 料理も仕事も科学的でありロジカルに対処すべきものである。ではあるものの、最後は感性で決まる。

  • しかし最終的な評価は結果で決まる。自己満足だけではなく他者評価も重要。

  • 「面倒くさい!」と感じることも多々あるが、料理も仕事も生きていく上で必要な行為なので我慢する。

  • まずは基本を習得し、それから試行錯誤して自分のオリジナリティを出していく。

  • アドリブ能力、臨機応変さが求められ、それをいかにベストに近く、モアベターにするのが腕の見せどころ。料理にも仕事にも、最高はなく、その時のベストに近いアウトプットを出すことが大事。

  • 料理も仕事も付加価値をつけることが必要。アウトプットにいかに付加価値をつけるかが大事。

つまり、料理とは、右脳と左脳をフル回転させる行為であり、料理を通じてビジネスの基本であるPDCAサイクルを回すと同時に、OODA ループ的な発想も必要、かつクリエィティブな側面もあるのでデザイン思考も養うことができます。

3.趣味は仕事で仕事が趣味??

以上、半ば(ほとんど?)冗談混じりで書き綴って参りましたが、肝要なのは、料理に限らず自分の好きなことを仕事に生かす、また逆に仕事で習得したことを趣味に生かすという発想を持つことだと思います。

オンとオフを分け、ワークライフバランスを大事にしろと強調されるご時世ですが、特に私のような弱小零細個人事業主にとってオンはオフでオフはオンであり、ワークもライフも同じ生活の一部(「人生の一部」と置き換えてもいいかもしれません)なので、分けようがないし、分けることに意味がないと考えています(まあ、実際問題としては「分けられないので」「考えざるを得ない」のですが)。

また、天然由来の材料を使用している限り、料理は完全に同じものを再現できません。その意味で同じ味は二度と出せないのですが、次に作るときには、いかに前回と同水準、できればベターなものを作れるかどうかがチャレンジングでもあります。仕事も同様で、1日で終わる短期的なタスクであれ、長期間のプロジェクトであれ、次に取り掛かる仕事が前回と全く同じというものはほとんどないと言えます。

その意味で、料理にせよ、仕事にせよ、常に自分に言い聞かせているのは、「今回は最高の出来ではないけれど最善は尽くした、でも次はさらにいいもの、その次はもっといいものに」という心構えだけは忘れないようにしようという事です。

とはいえ常にビジネスと料理を結びつけているのではなく、純粋に楽しんで作り、美味しければ嬉しいし、そうでなければ悲しい思いをしながら食べているのが実態ではありますが(たまにビールを飲みながらやっていますし)。

You are what you eat, what you read, and you are what you do.


NewsPicks Expertの登録エキスパートによる「#エキスパートアドベントカレンダー2024」。

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