
「#エキスパートアドベントカレンダー2024」とは、NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、各業界・専門領域における学びや、エキスパート活動を通しての気づきを共有する期間限定企画です。
今回は、合同会社トロの芳賀淳氏による記事をお届けします。
芳賀淳
合同会社トロ
主に中小企業の海外展開支援サービスを提供しています。ジェトロ、中小機構、大阪商工会議所、神戸商工会議所といった公的機関のハンズオン支援やセミナーを通じて、中小企業向けに、海外への取組みイロハ、から、それぞれの企業向けカスタムメイドの支援メニューを作り上げ、提供しています。セミナーでは4段階評価のうち上位2評価がほぼ90%以上という実績を持ち、毎年公的機関向けだけで20件以上のセミナー講師を務めています。日本政策金融公庫の「輸出ノート」の執筆も芳賀が手掛けました。
12月13日は正月事始め(しょうがつことはじめ)、正月の準備を始める日です。仏像が煤払いされたり、祇園の芸妓さんらが師匠に挨拶する姿がニュースで流れたりしますね。我々も新しい準備を始めましょう。
でも、どんな準備をすればいいの? という声も聞こえてきます。ここでひとつ、日本以外にもっと目を向ける準備を始めてはどうでしょうか?
日本はかねてから少子高齢化による市場の縮小が問題視されています。人口は突然増えません。よって、市場も増えることは見込めません。どうしたらよいのでしょうか?
コロナ禍明けから1年半以上が経過し、日本のあちらこちらで外国人観光客(来訪者)の姿を見ない日はありません。
日本政府観光局(JNTO)の統計データによると、東アジアやASEANからの来訪者が4分の3以上を占めています。日本のGDPとASEAN10か国の名目GDPを比較すると、ASEANのGDPは日本のGDPの9割以上に達しています。
また、台湾は関西地区(福井県を含む)のGDPより大きく、シンガポールと香港を足した経済規模は関西地区よりも大きいのです。円安の影響で割安になった日本に彼らが来訪するのもうなずけます。

2025年は大阪・関西万博もあり、更なるインバウンド需要の増加が見込まれます。そのとき外国人に販売する品物には、日本語表記だけでなく、「再注文はこちらのサイトからどうぞ」という主旨の外国語シールを貼ることでリピート注文が期待できます。再注文サイトへの誘導はQRコードを記載します。あるいは、QRコードを記載した名刺サイズのカードを準備し、買ってくれた人に渡すのも効果的です。言語は、英語、中国語、ハングル、インドネシア語、タイ語、ベトナム語、タガログ語(フィリピン)などから選びましょう。
上に書いた、インバウンドや万博で来訪した外国人が帰国してからのリピート注文を越境ECで受けることが効果的です。自社サイト、ショッピングモール等複数の入口を準備します。
越境ECの規模が拡大すると、外国に居住する個人客に個別配送することは効率が悪くなります。外国に販売代理店というパートナーを見つけ、そこに当該国の流通を任せるのが次なる選択肢となります。
クラウドやストリーミングを使ってソフトウェアなどの情報を販売することも今後の選択肢に入りそうです。
品物代と物流費を加算することは国内も海外も共通です。ただし海外の場合は、梱包費がかかること、輸送費の選択肢が多いこと(国際郵便EMS、国際宅配便、航空輸送、船輸送)、品物に損害保険を掛けること、通関作業費などの外注作業費がかかること、を考慮した価格計算が必要です。越境ECの場合は相手国の輸入関税や現地消費税のことも調べて価格に加える必要があるかもしれません。
自社ECサイトに加え、Amazon、Shopee、Lazadaなどモールへの出店も考えます。
直接外国人と対面し丁々発止の交渉をする場面はなかなかありません。越境ECの初期段階では、メールやSNSなどを通じた外国語、特に英語での交渉が主体になります。今では翻訳ツールの性能も高くなりました。生成AIや翻訳ツールを利用して海外との交渉ができる時代です。
自身(自社)が輸出申告者の場合、輸出価格に消費税を加えません(輸出免税)。輸出した品物や部材を買った時に支払った消費税(課税仕入れ)は、消費税の確定申告時に還付を受けることができます。ただし、課税事業者であること等が条件です。
次の各項も本格的な海外ビジネスを行う上では理解しておきたい内容です。
越境ECから更に進んで海外市場を開拓する場合は、業界の人が集まる展示会(Exhibition、Trade Show)を利用するのが効果的です。漫然と商品を陳列するだけでは人は寄り付いてくれないので、的確なメッセージの構想、そのメッセージの伝え方が重要です。
外国で自社のコピー品が出回らないよう、外国での知財登録を考えます。
食品と木材以外の品物は輸出時に、「軍事用途に転用される可能性がない」ことを事前確認する必要があります。
輸入関税が下がる、あるいは無税になる(かもしれない)制度を利用して、品物をより多く(高額に)売ることができるかもしれません。
ここに記載した内容を更に深掘りしたノウハウ等は、またの機会にお伝えしたく思います。
これを読まれた皆さんにとって、良い正月事始めができることをお祈りします。
NewsPicks Expertの登録エキスパートによる「#エキスパートアドベントカレンダー2024」。
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