2024-12-22

「#エキスパートアドベントカレンダー2024」とは、NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、各業界・専門領域における学びや、エキスパート活動を通しての気づきを共有する期間限定企画です。
今回は、COTO DESIGN, LLC 代表の石森宏茂氏による記事をお届けします。
石森宏茂
COTO DESIGN, LLC 代表
新卒で国内大手教育事業会社入社。11年間にわたり法人営業から経営企画、国内外の新規事業開発まで幅広い業務に従事。2021年に独立し、株式会社coto design(現COTO DESIGN, LLC)を創業。現在は、経営企画×新規事業開発のプロフェッショナルとして、主に大手企業を顧客に、経営システム構築から事業創造・推進までを一気通貫で伴走。“理論1割”と“実践9割”で組織の持続的成長を支援している。みらいワークス総合研究所フェロー兼コラムニストとして、新規事業実践コラム『"板挟みイノベーター"』連載中。日本↔︎マレーシアの2拠点生活。
2021年1月、私にとって人生の大きな転機が訪れました。詳細は割愛しますが、体調を崩したことをきっかけに、新卒からおよそ11年間勤めていた会社を離れることになったのです。想像もしていなかった、あまりにも突然の出来事でした。そこからもうすぐ4年が経ちます。この4年は、失った自分を少しずつ取り戻すための時間でもありました。
大企業という「看板」が外れ、代わりに自分の名前を掲げる「個人商店」として歩き出したとき、私はひたすら迷い続けました。何を軸にすればいいのか、どんな価値を提供できるのか。そんな手探りの日々の中、気づくと「やればできる」ではなく「やったらできた」という結果を拾い集めるようになっていたのです。たくさん迷って、でも動いてみる。その先で得たものは、意図せずして自分の視点や可能性を広げてくれました。
本稿では、不惑と呼ばれる40歳に到達したいま、改めて「迷い」と「行動」と「学び」について振り返ります。大きな転機後の4年間で、フワフワと揺らぎながらもワクワクし、動いたからこそ見えてきた自分なりの歩き方をお伝えします。その裏側には、かつて母が投げかけてくれた、ある言葉がありました。
今年の5月で40歳になりました。昔から「四十にして惑わず」などと言いますが、私の現状はというと、むしろ「フワフワで、ワクワクな」日々です。若い頃は「やればできる!」なんて意気込み先行で突っ走っていましたが、今は「とりあえずやってみたら、結果としてできた」という後付け的な成功(?)が増えています。これは、迷いを遠ざけるのではなく、むしろそれをバネにして、思わぬ場所へ飛び込んでいるからなのかもしれません。
迷うという行為は、一見ネガティブに見えます。でも、迷いは減らすものではなく、そこから次の一手を見つけるための道しるべ。フワフワしているようで、その揺らぎこそが新しい発想を呼び込みます。40歳の今、「不惑」という言葉にしっくりこない自分を笑い飛ばしながら、迷いながらでも行動してみる。その心構えが、結果的に世界を広げてくれる気がしています。
私はここ数年、NewsPicks Expertとして、複数のセミナー講師を経験させていただいています。その一環で、今年は「脱・わかったつもり市場調査」というテーマのオンラインセミナーで話す機会をいただきました(添付の告知画像はそのときのものです)。市場、企業、トレンドをどう読み解くか。表面的なデータや既存のフレームワークに頼るだけでは「わかったつもり」になってしまいがち。それを打破するために、どんな視点を持つべきかを問いかける場でした。(いつも貴重な機会を作っていただけるユーザベース・スピーダの鎌田さんには感謝です!)

実は、このセミナーを引き受けるとき、少し迷いがありました。というのも、テーマはとても興味深い一方で、参加者はオンラインで参加で、かつ、多様な背景を持つ方々。普段お受けすることの多いクローズドで、参加対象の方々の解像度が高いケースとは違い、どうすれば、より多くの人に「なるほど」と思えるヒントを提供できるのか。
しかし、実際にセミナーをやってみると、想定以上に好評をいただき、自分の視点を磨く機会にもなりました。聞き手に対する自身の解像度が低いことで、より普遍的なメッセージを磨かなければならない。その過程で、自分が本当に伝えたかった根幹が浮かび上がったということに気づきました。聞き手の幅が広がったからこそ、自分の中で核となる価値を再定義する機会になり、気づけば自分の言葉にこれまで以上の説得力と汎用性をもたせてもらえた、そんな機会になりました。
あらためて、「やる前にこねくり回して悩むより、やってしまったほうが気づきは多い」という事実に直面したのだと思います。こうした「やったらできたじゃん」という体験は、迷いを抜けた先にある新鮮な空気を吸い込むような感覚でした。
もうひとつの「やってみたらできた」エピソードがあります。今年の7月から、私たち夫婦はマレーシアのクアラルンプールにも拠点を持つ生活を始めました。約2年前に旅行で訪れた際、妻が「ここ、いいかも」と何気なく言ったのがきっかけです。そこで私が、「じゃあ拠点を作ろう」と相乗りする形で動いてみたら、気づけば2拠点生活がスタートしました。マレーシアに根を張る、というわけではなく、日本にも定期的に帰国するような生活です。(添付写真は、週に3回は食べる美味しいチキンライス定食です)

「海外で暮らすなんて大変じゃない?」とよく聞かれますが、やってみると特別な苦労はありませんでした。それどころか、ひとつの国に根を張って暮らすより、むしろ頭がスッキリする場面が多いのです。新規事業開発支援という仕事柄、アイデアが必要な場面は日常茶飯事ですが、視界を変えると頭の中に新しいインスピレーションが自然に湧いてくる。これは狙ってできたことではなく、結果としてついてきた予期せぬ副産物。「やる前は不安だったけど、やったらできたし、むしろ予想外の恩恵まで転がり込んできた」のです。
今日12月22日は母の誕生日です。若い頃、転職でグラグラ悩んでいた私に、母は「迷っているなら、やりたいってことなんじゃないの?」とさらりと聞いただけでした。当時は「ああ、そうかもね」程度で受け流していましたが、40歳になった今、その言葉が光を帯びています。
迷うことは、自分が本当は何かを望んでいる証拠かもしれません。迷うほどに、動き出した先で「やったらできた」という静かな確信が積み重なっていく。2021年1月の転機からこの4年、私はそうやって少しずつ「失った自分」を取り戻してきました。大企業の看板がないからこそ、迷いながらでも自分なりの看板を掲げる方法を模索できた。結果的に、フワフワでワクワクする、不惑とは程遠い40歳を謳歌しながら、次の一歩を考えられる自分がいます。
「フワフワで、ワクワクな」40代をこうして過ごしていると、不惑なんて言葉はどこ吹く風です。でも、それがいい。迷いは行動の種であり、実際に踏み出すことで思いがけない果実が実る。「誕生日おめでとう、そして、いつもありがとう」。母の言葉を胸に、私はこれからも迷いながら、でもやってみることを選び続けます。
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