行政からアカデミアへの転身と、そこからの気づき - 森晶子 / #エキスパートアドベントカレンダー2024

2024-12-22

「#エキスパートアドベントカレンダー2024」とは、NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、各業界・専門領域における学びや、エキスパート活動を通しての気づきを共有する期間限定企画です。

今回は、東京大学先端科学技術研究センター 特任助教の森晶子氏による記事をお届けします。

EXPERT

森晶子

東京大学先端科学技術研究センター 特任助教(先端教育アウトリーチラボ(AEO)ディレクター)、一般社団法人 共創マネジメント推進機構 代表理事
東京都庁・官房系→海外留学&出産をきっかけに教育分野へ。国際教育事業担当課長としてグローバル人材育成担当→東京大学先端研:次世代育成支援のラボを立ち上げ運営。実践をもとに研究に取り組んでいる。一般社団法人も運営。

私は20年間、東京都庁で新規施策/事業の企画立案や官民連携事業に携わった後、東京大学に活動の場を移し、今年で4年目になります。

今回の記事では、転身してどんなことをやっているか、そこでの気づき等を書かせていただきます。

1 行政から大学に転身した筆者の、大学での活動とは

東京大学先端科学技術研究センターという研究所で、「先端教育アウトリーチラボ」(AEO)という次世代育成に関するワンストップ機能を立ち上げました。

毎年、参加人数は年間1,300名程度と、決して多くはないですが、20以上の学術分野、30名以上の研究者の方々にご協力をいただき、大学院生や学部生と共に運営しています。

活動では、国内外の高校までの子供たちと大学のリソースとを結びつけ、探究やSTEAM教育の観点から、発展的な教育機会を創出しながら、持続可能な取組を実現するための仕組みづくりに取り組んでいます。

自治体と連携した教育改革支援、自主企画による探究・STEAM教育、国内外の高校等の訪問受け入れ、理系のジェンダーギャップへの対応、等が主な活動のカテゴリーです。そのほか、2024年は、海外の学校教員に向けた教員研修の開発・実施、国際会議の主催も行いました。

活動の際に意識しているキーワードは、共創、互恵性、心理的安全性などです。

取組を通じた気づきの一つは、高校と大学との連携の現場に、ギャップと静かなコンフリクトがあること。多様な教育プログラムの開発や実践を行いながら、高校と大学とが継続的、発展的に新しい教育を行っていくため、両者の間に立ち「仕掛け人」となるコーディネーターの重要性を掲げ、活動を行っています。

その他、取組を属人化させず多様な人材にコミットしてもらうこと、大学院生や学部生の活用、財源、長期的かつ多角的なKPIの検討なども重要な視点だと考えています。

アカデミアでは、こうした活動を実践として終わらせるだけではなく、研究という観点から、ある程度時間をかけて振り返り、深堀りし、主張していくことができることにも、非常に魅力を感じています。

私は、実際に自分が従事するまで、研究という仕事を意識したことがありませんでしたが、社会人として様々な活動を行った後で目指す仕事としても魅力的だと思います。

裏返すと、大学というフィールドでは、自身の主張を論文という形で示すことが基本だということは留意すべきで、論文は、行政文書や一般の報告書等とは力点の置き方や作法が異なるため、トレーニングには時間がかかります。筆者のように、ほぼ独学で専門分野の論文を執筆するのは、かなりの労力を伴います。

2 前職での蓄積を生かした官民連携のお手伝い

さて、行政を離れてから、教育分野に関する案件の他に、もう一つの活動の軸になっているのは、公共領域に関する官民連携のお手伝いです。民間企業の方々から、ご相談いただくようになり、色々な案件の壁打ち相手や、ご助言をさせていただく機会があります。

行政機関に在籍していた頃は、キャリアの大半を、新規施策や事業の立ち上げに従事して過ごしました。それらは基本的に官民連携の取組でしたので、当時、行政官として企業の皆様のご提案書を拝見し、対応していた活動がそのまま、壁打ちをさせていただく際に活きています。

ご提案書を拝見し、お話を伺いながら、民間企業の皆様の公共事業へのご関心の高さや、より良い社会づくりに向けた活動への高いモチベーション、柔軟なご発想力にいつも感銘を受けます。

それと同時に、公共政策・施策の視座や感覚と、ご提案内容やテーマに、少なからずギャップがあることを感じ、行政の仕組みや施策のあり方は、分かりづらいのだなぁと痛感します。

中には、行政のウェブサイトに掲載してある情報も、ディスカッションの中でご助言すると、そこを見ればよかったのか、とおっしゃるクライアントの方も複数いらっしゃり、情報発信の難しさも感じます。

制約が多い行政を離れたことで、私は活動の幅がとても広がりました。それでも、20年間、自分なりに愚直に限界に挑戦しながら過ごし、感覚を鍛えた行政・公共は、今でも私の大事な活動領域の一つです。

行政に居た頃は、庁内の職員と仕事をする時間よりも、民間企業の皆様と一緒にお仕事をしている時間のほうが長いくらいでした。民間企業の皆様には、仕事のやり方やキャリアの重ね方等、多くのことを学ばせていただいた気がします。

ご恩返しとして、官民のギャップを埋め、少しでも両者が手を取り合いやすい内容にインターフェースするお手伝いができるといいなと思っています。

3 2025年に向けた抱負

最後に、2025年の抱負。私はSNSやウェブ上での発信があまり得意ではないのですが、公共や教育などに関して、皆様のヒントになるような発信も少しずつ行っていけたらいいなと思っています。

これまでご縁を下さった皆様、本稿をご高覧くださった皆様、ありがとうございました。

どうぞ良いお年をお迎えください。


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