Q1. 2025年に挑戦したこと・変化があったことは何ですか?
50代後半での転身。広告人が銀行員へ転職し、大学教壇に立つ理由。
昨年、私は人生の転機を迎えました。30年以上勤めた広告業界を離れ、私は銀行の本部へと転職したのです。
新卒から定年まで一つの会社で過ごすのが常識だったバブル期を知る私にとって、これは初めての、そして大きな挑戦でした。
そして、名古屋産業大学の非常勤講師という副業の肩書きも継続しています。銀行員と大学教員という、一見すると接点のない二足のわらじを履いているのです。
考えてみれば、かつての日本社会ではあり得ないキャリアパスかもしれません。広告も銀行も、終身雇用が前提。副業は基本的にタブーでしたし、また大学の教壇で実務家教員の需要は限定的だったと思います。
雇用システムの地殻変動が生み出した「ビジネスパーソンの自由」。
しかし、時代は劇的に変わりました。
この変化の本質は、日本企業の雇用スタイルが「メンバーシップ型雇用」から、個人のスキルを基軸とする「ジョブ型雇用」へと、本格的な地殻変動を起こしている点にあります。
この社会のシフトは、特に若い世代や、これから社会に出る方々にとって、大きな追い風ではないでしょうか。
企業という大きな枠に縛られることなく、自分が身に付けた専門性やスキルを、社会の様々な場所で活かせる「キャリアデザインの自由」がもたらされたとも言えます。
Q2. その経験を通じて得た学びや、印象に残った気づきはありますか?
「やりたいこと」がまだ見つからない君へ
私が大学生から最も多く受ける相談は、「自分のやりたいことが見つからなくて困っている」というものです。その気持ち、よく分かります。かつての私もそうでしたから。
その都度私はこう助言しています。「20代でやりたいことが見つからなくて当然です」と。自分に無理をしてまで「天職」を決めつける必要などありません。
人生の多くの潮目は、計画外の出会いで決まったりするものです。大切なのは、いま自分がやってみたいと本心から思えることに、100%の力で取り組むことです。
目の前のことに真摯に向き合っていれば、不思議なことに新たなご縁や、予期せぬ機会が向こうから訪れます。
私自身、キャリアにおける重要な一歩は、すべて「偶然」がきっかけでした。
広告会社に就職を希望したのは、大学のOBに「君も受けてみたら?」と勧められたのがきっかけです。
メガバンクへの転職は、面識のないヘッドハンターから連絡をいただき「あなたを推薦したい」と言われたのが始まりです。
大学講師の副業は、某シンポジウムで登壇した際、たまたま大学教授から「あなたは教員に向いてますよ」と声をかけられたのがきっかけです。
つまり、私のキャリアはすべて「計画外の偶発性」による副産物なのです。
Q3. 2026年に向けて、どのような構想や挑戦を思い描いていますか?
キャリアを導く「計画的偶発性理論」
この人生の妙を理解するヒントが、キャリアデザイン論の「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」にあります。
これは、「キャリアの8割は偶然に左右される。それならば、その偶然を積極的に引き寄せよう」という考え方です。人生のチャンスを掴むために必要なのは、好奇心、粘り強さ、柔軟性、前向きな姿勢、そしてリスクを恐れない行動力の五つだと、クランボルツ教授は主張しています。
若い皆さんが、この理論に基づき、幸運なチャンスを呼び込み、そして確実に掴んでいくことを心から願っています。
2026年への青写真
2026年の目標は、引き続き私自身が「キャリアデザインの変化を自由に楽しむモデルケース」となることです。
金融と教育という、全く性質の異なる二つのフィールドを往き来しながら、そこに化学反応を起こし、自らの可能性を広げ続ける。
あるいは、また何か予期せぬハプニングが自分の身に起きないとも限りません。
そのような働き方を実践することで、若い人たちに「人生いくつになっても、どこからでも、踏み出すことができるよ」という勇気を与えることが、私の目標です。
年令を言い訳にせず、自ら「道なき道」を切り開く。それが私のコミットメントです。



