Q1. 2025年に挑戦したこと・変化があったことは何ですか?
2025年は2冊の著書を刊行し、さらに2026年1月には3冊目の刊行を控えるなど、私にとって非常に印象深い一年となりました。長年、ベンチャー投資・支援や事業開発に費やしてきたキャリアと、2017年から約5年間にわたりSBI大学大学院で講師として事業計画演習ゼミを担当した経験を、書籍という形で体系化することに注力いたしました。
まず、2025年4月28日に1冊目となる『ベンチャー・スタートアップ資金調達の教科書 エクイティファイナンスを成功に導くための知識武装』(日本能率協会マネジメントセンター)を上梓いたしました。ベンチャーキャピタルを中心としたファイナンス業界は専門性が高く、情報格差が生まれやすい分野です。
そこで、ベンチャー企業が資金調達を行うための基本を押さえ、定義や手法、国内外の動向、そして独自調査による市場分析などを網羅的に解説し、起業家が知識武装できる決定版教科書を目指しました。
続いて、別の出版社より逆提案をいただき、同年9月29日に2冊目となる『図解入門ビジネス 最新ベンチャーキャピタルの基本と仕組みがよ~くわかる本』(秀和システム)を刊行いたしました。
こちらは1冊目の知識を補完する位置づけであり、これまで日本に類書が存在しなかった「VC業界の全体像」を体系的に解説した日本初の本格的な入門書です。ビジネスモデルや法的仕組みといった基礎から、日米市場比較、さらには投資意思決定の実務や契約交渉術までを解き明かし、業界の地図を描くことを意図しました。
そして現在、2026年1月の発行に向けて3冊目を執筆中です。タイトルは『(仮)図解入門ビジネス 最新生成AIビジネスの基本と仕組みがよ~くわかる本』(秀和システム)です。
多くの書籍がシステムや技術解説に留まる中、本書は徹底的に「ビジネスサイド」から生成AI業界を切り込みます。市場の仕組みやサービス分類に加え、大手テクノロジー企業の戦略分析、ベンチャーの資金調達やM&A動向までを深掘りします。特に資金調達動向の章は、1冊目での分析データの続編としての意味合いも持たせています。
Q2. その経験を通じて得た学びや、印象に残った気づきはありますか?
短期間で立て続けに執筆を行う中で、「執筆活動の過酷さ」と「出版業界の構造」について多くの気づきを得ました。
執筆プロセスにおいては、ビジネス書に求められる約15万文字という分量をアウトプットする難しさを痛感しました。当初は書きながら構成を調整していましたが、それでは効率が上がらず行き詰まることもありました。
そこで、章立てや節の構成、図表の内容などを事前に徹底的に構造化してから執筆するスタイルに切り替えたところ、作業効率は劇的に向上しました。この「膨大な情報を構造化してから出力する」というプロセスは、実は本業のコンサルティングや投資支援業務にも良い影響を与えています。複雑な事象を整理し、起業家へアドバイスする際の切れ味が以前より増したと実感しています。本業との両立は時間との戦いでしたが、週末の早朝時間を充てるなどタイムマネジメントを徹底することで乗り切りました。
出版に至るまでのプロセスでは、業界のアナログな側面やマッチングの難しさを目の当たりにしました。1冊目の企画を通すために約20社へアプローチしましたが、受付の多くがいまだに郵送のみであるなど、DX化の遅れに驚かされました。
また、編集者との相性やタイミングといった「運」の要素も強く、適切な担当者に企画を届けるハードルの高さを感じました。しかし、担当編集者と直接対話ができるようになってからは認識の齟齬が解消され、企画の真価が伝わるスピードが早まりました。
現状、出版社側が潜在的な著者を効率的に発掘できているとは言い難いため、出版を目指すならば地道な情報収集とアプローチが不可欠であると学びました。
Q3. 2026年に向けて、どのような構想や挑戦を思い描いていますか?
2026年は、まず1月に予定している3冊目の刊行を無事に終えた後、間髪入れずに4冊目のプロジェクトへ着手する予定です。
次なるテーマは「事業計画書の作成方法論」です。大学院での講師経験を通じて蓄積された膨大な資料をベースに執筆を進めます。
現在、市場にある事業計画関連の書籍は、銀行融資用か社内稟議用が主流です。ベンチャー企業向けの書籍もありますが、その多くは簡易的なピッチデックの作成法に留まっており、ベンチャーキャピタルからエクイティファイナンスを受けるための本格的な事業計画書を網羅的に解説したものは空白地帯となっています。
スタートアップを取り巻く資金調達環境が厳しさを増す中、投資家のデューデリジェンスに耐えうる堅牢な事業計画が求められています。実務の現場から見ても、VC向けの事業計画書には独特の作法や必須項目が多いため、これを解説することは非常に有益であり、確実な社会的ニーズがあると考えています。
今後は、手持ちのドキュメントを整理しつつ執筆を進め、出版企画書を作成して出版社へアプローチしていく予定です。もし企画の採用が難しい場合は、noteなどで先行して内容を公開し、VC関係者などからのフィードバックを取り入れながらブラッシュアップしていく形も検討しています。
体系的かつ重厚な内容となるため膨大な作業時間を要しますが、2026年内に刊行できるよう邁進していきたいと考えています。



