Q1. 2025年、あなたの専門領域で最も印象に残った出来事・変化・トピックは何ですか?
2025年は「首都圏住宅価格指数の連続上昇」「全国の地価が大幅上昇」「中古億ションの急増」このようなニュースが毎月のように報道されていたと思います。
これに加えて「住宅ローン金利の上昇」「不動産投資家による転売の横行」。不動産価格高騰の要因は様々ですが、このようなニュースを見ていると特に首都圏で不動産を所有するのを絶望的に思う方もいますよね。ここまで不動産相場が高騰すると予想した人はほとんどいなかったのではないでしょうか。
私が不動産業界に足を踏み入れたのは約14年前。リーマンショックから約3年が経ち、東日本大震災の翌年でした。この頃の不動産価格は下落傾向。当時の不動産仲介会社の営業マンの相場予想は「これからまだ相場が下がり続けるから早めに売却した方がいい」だった気がします。東京オリンピック2020大会の開催が決まってからの相場予想は「東京オリンピックが終了したら相場は下がる」でした。結果これらの予想は外れたわけで、不動産相場というのは本当に予想が難しいものだと感じています。
話を戻しますが、2025年、不動産に関して最も印象的だったのは首都圏の不動産相場の高騰です。不動産相場は株価と違って急激に上がったりはせず数年かけて上昇してきたので2025年に限った話ではないのですが、特に「相場高騰」のニュースが多かった年だと思います。
私は数年前に本業としては不動産を離れていますが、副業としてコンサルティングをしています。700件以上の相談を受けた中でファミリー層の相談内容として一番多いのが、不動産を購入するタイミングや今後の不動産相場についてです(たまに「購入vs賃貸」の話題になったりもします)。
私の住んでいる埼玉県では住宅ローンを組む際にご主人単独で融資を受けるケースが多いですが、億ションが当たり前になった都心では、夫婦で融資を受けるペアローンの利用が多くなってきます。ご主人単独だと難しいファミリー層はこのペアローンを利用してマイホームを購入してきたわけですが、昨今の相場の高騰によりペアローンでも「希望エリアで買いたいのに買えない」「このまま相場が上がっていってマイホームは夢で終わるのではないか」という方が特に今年になって増えています。
報道されているニュースがいまや購入希望者の実感へと変わった、メディアの見出しと買い手のリアルがシンクロし始めた年になったと強く感じた年になりました。
Q2. その出来事・変化が起きた背景には、どのような要因があると思いますか?
「不動産は減価償却して価値が下がるはずなのに、なぜこんなに高騰しているのか?」という疑問を持ちませんか?
結論を申し上げると、建物部分は減価償却で価値が下がる一方、土地とマーケット要因が値上がりしているため、トータルで上昇しているという構造になっています。このマーケット要因の一つが人件費の上昇や建築資材の値上がりによる建築コストの高騰です。
特に2020年〜2025年で建築費は20〜40%上昇と言われています。新築物件が高くなるということは、 新築が買えない層が中古に流れ中古物件の価格も上がるという現象がおきます。更に築浅・人気エリアなど付加価値の高い物件には投資マネーも流入します。
よって、特に都心においては築20〜30年でも購入時よりも価格が上がる事例が多くなってきました。売る側は嬉しいですが買う側にとっては厳しい環境ですよね。
もちろん建築コストの上昇だけではなく、都心で開発可能な土地が少なくなった・住宅ローン金利上昇による駆け込み需要・首都圏の人口一極集中・海外投資家の積極的な購入など要因は様々ですが、これをメディア報道することにより、買い手が「今買わないと買えなくなる」、売り手が「売り時ではない、もっと高くなる」という心理が働いて相場が高止まりしているとも感じています。
Q3. このトピックは今後どのように進化・展開していくと考えますか?
不動産相場については都心と地方で二極化していくと考えます。中長期的に見て金利がさらに上がれば価格調整を伴う局面があると思いますが一時的かもしれません。
特に都心や再開発エリアは本当に富裕層に人気なので下げ幅は限定的です。今後、都心の物件を購入するのは中々難しくなってきますが、一方で2026年以降に進む「構造的変化」として、中古流通・リノベーション市場の拡大が予想されます。最近のニーズですが、省エネ・断熱性能の向上・防音ワークルームや趣味スペースへのリノベなどがあり、IoT技術が向上すればスマートホームプラットフォームの標準化も考えられます。
これはAIが空調を自動制御したり、スマートロック(鍵いらず)、スマート照明(声でオン/自動オン)、スマート防犯カメラなど中古物件ほどニーズが高いIoT技術もあるので、導入コスト次第ではこういった技術に付加価値を見出す方が増えてくるのではないでしょうか。特に今の20代30代は、IT機器に慣れ親しんだ世代でもあります。
今後については展望が予想しづらい世の中ですが、新築物件であっても中古物件であっても、都心で買うなら「資金計画を堅く」、地方や郊外で買うなら「周辺環境や将来の売却市場」を検証する事が重要になりそうです。



