Q1. 2025年、あなたの専門領域で最も印象に残った出来事・変化・トピックは何ですか?
ペロブスカイト太陽電池が次の再生エネルギーの柱として一気に脚光を浴びたことです。関連ニュースを見ない日がないほど、新しい情報が必ず出てくる状況です。最も印象的なのは、エネルギー業界に携わっていない一般の方々にもペロブスカイト太陽電池が認知され始めたことです。
国はNEDOのグリーンイノベーション基金による巨額の支援の下、積水化学工業、エネコートテクノロジーズ、東芝、パナソニック、カネカといった企業の量産化に向けた開発を強力に後押ししています。また、大阪・関西万博は「ペロブスカイト万博」と呼ばれるほどの実証実験場となったことは記憶に新しいです。
しかし、ペロブスカイト太陽電池に張っているのは日本だけではありません。海外、特に中国企業の量産投資が大規模かつ急速に進んでいます。GCLやUtmolightといった主要企業が、技術的な課題が残る中でさえ、次々とギガワット級の製造ライン計画を打ち出しています。
Q2. その出来事・変化が起きた背景には、どのような要因があると思いますか?
技術的なブレイクスルーに加え、「地政学的な要因」と「市場の要求の変化」という二つの大きな力が働いています。
まず、技術的には、ペロブスカイト太陽電池の最大の課題であった耐久性と量産に関して、一定の実用化の目処が立ったことが背景にあります。これにより、各社でのフィールド実証が急速に広がると同時に、量産に向けた開発が加速しだしました。
次に重要なのは、地政学的な要因です。従来型のシリコン太陽光パネルにおいては、中国製が世界シェアの90%以上を占める独占状態です。日本はペロブスカイト太陽電池の主原料であるヨウ素の生産量 世界2位、埋蔵量 世界1位であることに着目し、ペロブスカイト太陽電池によって、エネルギー自給率を高めることを目指しています。
加えて、日本の国土面積に対する太陽光パネル設置面積率は世界1位であり、太陽光パネルを置く場所がなくなってきているという問題があります。ペロブスカイト太陽電池の軽量・柔軟性という特性が、既存のシリコンでは対応できない建材一体型(BIPV)、曲面への貼付け、車載といった新たな設置場所、用途の実現が期待されています。
Q3. このトピックは今後どのように進化・展開していくと考えますか?
ペロブスカイト太陽電池の市場が本格的に拡大するのは2030年頃と予想しています。来年から、日本のセルメーカー各社は少量出荷を開始すると発表しており、これから、ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けたユースケースの確立を進めていくことが重要であると考えます。
今後の展開において、日本の戦略は「汎用品の量産競争」ではなく、ペロブスカイト太陽電池ならではのユースケースとバリューチェーンを生み出すことが重要になると考えます。
これまでは、セルメーカーの技術開発が中心でしたが、来年以降は、社会実装に向けて、様々なプレイヤー同士の連携によって、ユースケースを確立し、2030年以降の本格的な社会実装に向けた動きがさらに加速、拡大していくことに期待しています。



