Q1. 2025年に挑戦したこと・変化があったことは何ですか?
30年勤めた市役所を退職して3年が経ち、デザイン、飲食、まちづくり、自治体DX支援などの民間会社を経て、2024年12月には株式会社 GOOD LOOPを立ち上げ、2025年12月にはJR奥羽本線碇ケ関駅の駅舎を間借りして、CAFE / BOOKSTORE / BAR RUUP/(ルウプ)を開業しました。
2025年に挑戦していたのは、新しい事業や役割を増やすことではありませんでした。
むしろ、「居場所」や「場」と呼ばれてきたものを、問い直し、編み直すことだったと思います。
これまでサード・プレイスは、家庭(第一)や職場・学校(第二)とは別の、第三の居心地のよい場所として語られてきました。
それは確かに大切ですが、一方で私は、「居心地がいいだけで、人や社会は本当に動き続けられるのだろうか」という疑問を持つようになっていました。
冒頭で紹介したRUUP/は、CAFE / BOOKSTORE / BAR をスラッシュ(/)でつないだ場所です。
分けるのではなく、あえて重ねる。
日常と非日常、地域と旅人、珈琲とお酒、仕事と余白が交差する「あいだ」をつくること。
その延長として生まれたのが、
シェア型書店「BOOK□STA(ブクスタ)」と、
通学支援型こどもカフェ「PAN□STA(パンスタ)」です。
ブクスタでは、本を「売る/買う」だけでなく、
棚を借りた人と、手に取った人が熱を交わす関係が生まれます。
パンスタでは、朝の駅で高校生にロスパンと飲み物を手渡すことで、フードロスの解消と子どもたちの健康づくりという社会課題の解決を図るとともに、地域の日常に、ささやかな接点を生み出します。
年の瀬に一年分の記憶をループさせてみて、
自分はずっと、この「あいだ」をデザインしていたのかもしれないと感じています。
2025年は、3rd Placeの延長ではない、
4th Placeの可能性を、現実の場所と実践で試した一年だったと言えます。
Q2. その経験を通じて得た学びや、印象に残った気づきはありますか?
もっとも大きな気づきは、
関係は「居心地」からではなく、「交差」から育つということです。
RUUP/には、目的を揃えた人が集まるわけではありません。
本を探しに来た人、珈琲を飲みに来た人、
通学途中の高校生、旅の途中で立ち寄った人。
それぞれが違う理由で、同じ空間に居合わせます。
スラッシュ(/)で機能を分けずにつないでいるからこそ、
思いがけない会話が生まれ、
役割や立場を越えた関係が、少しずつ育っていくのを感じています。
ブクスタでの棚主と来店者の会話や、
パンスタでの「おはようございます」という短いやり取りは、
どれも小さな出来事ですが、
その積み重ねが、関係の芽になっていると感じます。
2025年を通して実感したのは、
関係づくりに必要なのは「正解」や「設計図」ではなく、
偶然が起こる余白、つまり、計画的に余白の創造を意図的に残すことだということでした。
4th Placeとは、完成された居場所ではなく、
関係が更新され続ける状態そのものなのだと思います。
Q3. 2026年に向けて、どのような構想や挑戦を思い描いていますか?
2026年に向けて考えているのは、
4th Placeという考え方を、特別な場所の話にしないことです。
RUUP/はあくまで実験装置であり、
目的は店舗を増やすことではありません。
ブクスタやパンスタで得た手応えを含め、
スラッシュによって関係が生まれ、育っていく構造を、
仕事や地域、組織の中にどう移植できるかを考えています。
役割を固定しすぎないこと。
異なる人が交差する余白を残すこと。
失敗や未完成を前提に、回し続けること。
これらはノウハウではなく、
関係が循環し続けるための前提条件だと考えています。
こうした4th Place的な発想は、
自治体DXやまちづくり、組織づくりにも応用できるはずです。
2026年は、
3rd Placeの次のフェーズとしての4th Placeを、
言葉と実践の両方で深めていく一年にしていきたいと思っています。
ぜひ、RUUP/、そして
BOOK□STA と PAN□STA のある風景を、
現地で体感してみてください。



