「幅を広げつつニッチを極める」やりたいことの飽くなき探究 - 立花浩司 / #キャリアの幅を広げるか専門性を極めるか

公開日: 2025-03-21

本記事は、NewsPicks Expertに登録するエキスパートが、各テーマについて経験談や思考などを共有する企画です。
3月のテーマは「キャリア」。これからのキャリア選択に悩むビジネスパーソンに向けて、エキスパートの具体的なエピソードや思い、考えをお届けします。

今回は「キャリアの幅を広げる or 専門性を極める。迷った私の決断」をテーマにエキスパートに寄稿していただきました。

EXPERT

Q. キャリアの分岐点で「幅を広げる」「専門性を極める」のどちらを選んだか? 状況・課題・チャンスについて

私自身はキャリアの分岐点で、結果的に「幅を広げる」を選んだように思います。

長らくライフサイエンス関連の研究支援ビジネス(主に試験研究用機器・試薬)の分野に携わってきました。ところが、勤めていた業界ではプロダクトアウトの考え方が主流で、かつプロダクトそのものが顧客ニーズと乖離していっているという感覚がありました。

14年以上勤めた会社が大手医薬品会社の傘下になって、顧客ニーズに寄り添うよりも、見栄え良くM&Aされれば良いという方々の声が通るようになったと感じたときに、当該分野での「専門性を極める」よりも、当該分野での知見を活かして、周辺分野に「幅を広げる」ほうがよいと徐々に考えるようになりました。

Q. その決断をする上で、どんな選択肢をどう比較・整理して決めたか?

最初のうちは、体外診断薬や医薬品の分野に「幅を広げる」のが王道ではないかと悩んだことがありました。

しかしながら、自分自身の強みはそうではなく、学部時代に農芸化学を学び、学卒で最初に入った時の会社が、原材料を第一に考える食品メーカーであったこともあって、農業分野に「幅を広げる」のことが自分自身の納得感が強くなる分野だと考えました。

ただ、いまも迷いがないわけではありません。迷いは一生涯続くことなのかも知れませんね。

Q. 実際にその道を進んでみて感じた壁や課題は何か?

農業分野に「幅を広げる」のことが、自分自身の納得感が強くなる分野であると考えたと書きましたが、思った方向に仕事がたくさん見つけられたかというとそうではありませんでした。

内閣府の科学技術基本計画フォローアップ調査の仕事で、アグリバイオ分野の深掘りが必要とされたときに、担い手がいなかったためにスポット的に指名されることがあったり、あるいは戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で、次世代農林水産業創造技術(アグリイノベーション創出)の課題が設定されたときに、社会実装の方法に関する調査研究の受託調査案件が回ってきたりはしましたが、それほど頻度が高かったわけではありません。

ただ、それらの経験がニッチだったが故に、ライフサイエンスからアグリバイオ、アグリテックの分野への幅が広がり、あまり専門家が存在しない領域での専門性、もしくは相場観を持ち合わせるようになりました。

Q. もし別の選択をしていたらどうなっていたと思うか?

いま振り返って、結果的にいまは食品業界でもライフサイエンス分野でもなく、営農型太陽光発電関連のコーディネーター的な業務であったり、化学系の事業会社の方からのライフサイエンス周辺分野への新規参入にあたってのコンサル的な業務であったり、ある意味無分別に見えて、実は根っこの部分が同じ仕事ができています。

おそらく同じ会社に居続けて仕事を続けてきた方とは異なる視点が私の強みであり、個性ではないかと思っています。

Q. これからキャリアを考える人に向けて、一番伝えたいことは?

転職歴の多い私のようなキャリアパスは、かつては非常にネガティブに捉えておられる方が多かったと思います。

しかし、これからのVUCAの時代においては、複数の相場観と洞察力が意外と他者に真似できない強みとして評価されるようになってきた感触を持っています。

キャリア選択で一番重要なことは、自分の価値観と照らし合わせてフィット感が高いかどうかだと個人的には思いますが、その前提として、多様性の視点を常に持ち続けつつ自分のキャリアに生かせることが大事かなと最近になって振り返るようになりました。一個人のキャリアの変遷ではありますが、よろしければ参考にしてみてください。


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